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赤松先生のお茶  作者: あきこ
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家庭訪問

4月も中旬になり今日は家庭訪問の日だ。

見える所だけさっと片付けた。

加島先生が笑顔いっぱい元気そうにママチャリでやってきた。


「こんにちは~」

「先生、どうぞおあがりください」

犬のむーちゃんがしばらく興奮して吠えていた。


我が家の愛犬の名前はムサシ(むーちゃん)という。

むーちゃんは特に可愛い優しい人が好きである。

しばらく加島先生の周りをぐるぐる回って

匂いを嗅ぎ様子観察して横でおとなしく伏せをした。先生は笑顔でむーちゃんをなでた。

少し世間話をした後、私は家の事を話し始めた。


「先生、うちは母子家庭なんです。

二年程前に離婚しまして

今は私がお父さんとお母さん両方の役割をしているんです。

優太が幼稚園の頃父親が商売に仕事に失敗してそれ以来何をやっても上手くいかず転職を繰り返して

私に辛く当たってばかりで・・・DVだったんです。


お父さんに また、これから頑張ったらええやん

っていうと、プライドが許さないのか余計に怒鳴り散らして

殺すぞとか、お前のせいで仕事失敗したとか、わけわからないこと言うし


のうちパチンコばかりするようになって朝から並んで夜の二十二時頃まで行ってるんです。

負ける気せえへん、パチプロになってパチンコで生計を立てるとか言い出すし

突然俺たこ焼き屋するわ、とか言い出すし、ただ言ってるだけで結局何もしませんでしたが。


キッチンの椅子を並べてよだれを垂らして、ねそべってばかりで子供の友達が来てもお構いなしで

やる事言う事がもう無茶苦茶でした。子供たちにとってもかなり環境は良くなかったです。

ホントはもっと早く離婚出来たら良かったのですが私も一人でやっていくのは自信がなかったし

子供もかわいそうと思って決断できないでいましたが・・・

最後には旦那のお姉さんと、うちの母が背中を押してくれてやっと離婚出来たんです。

私にとっては人生あきらめていたけど救われたようで

ホントにホントに助かって良かったのですが

子供たちにとってはお父さんの田舎に毎年帰って遊んだり楽しい思い出も幾つかあったので

残念で淋しかったと思います。


今は父親は2キロ程先のマンションに暮らしていて、いつでも連絡を取って会えるようになっています。

 先日優太に父親が入学のお祝いで携帯を買って持たせているので時々連絡とりあっていると思いますが」

「お父さんって昔どんな感じだったんですか」

「昔は、すごい頼りがいがあって面白くて優しく家族にとっていいお父さんだったんです。

部下も沢山いていつもリーダーシップとっていました。でも会社を辞めてお商売に失敗しておかしくなって

豹変してしまったんです。いつかもとのお父さんに戻るとずっと信じていましたが戻りませんでした。

一気にいっぱい早口でしゃべってしまってすみません。

先生次の家に行かないといけないでしょ?」


「いえ、大丈夫ですよ。今日はここで終わりです」

「そうですか、よかった」

「うちも同じ母子家庭でした」

先生は淋しそうに言った。

「えっ 先生も、そうなんですか?」


先生も子供の頃母子家庭で色々苦労なさったのか。あまり詳しく聞いては悪いように思った。


「先生、優太はお父さんに似てかなり頑固なとこがあって色々迷惑かけることがあると思いますが

その時はよろしくお願いします」

「わかりました。気をつけて見ます」


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