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赤松先生のお茶  作者: あきこ
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隣のおっちゃん(一)

自転車があまりにも何台も停まるので毎日があわただしく家も散らかり、ほこりが立つ。

優太の友達が階段をバタバタとのぼったり下りたりする度に犬のむさしが『ワンワン』吠える。

せっかく仕事が休みの日でもなんだか落ち着かない。

来る子たちそれぞれ性格が悪い子ではないのだが他人の家の迷惑とかそんなことは全く考えない。

自分が楽しければそれでいいのだ。

そもそも優太が家に入れるからいけないのだ。決まった時間になったら

「おじゃましました」

と帰ってくれたらいいのに。


でも現状は好きな時間に来てプレステで対戦ゲームしたりケータイさわったり漫画や雑誌を読んだり

寝ていたりコンビニに行って何か買って食べたり。

好きな時に来て好きな時間に帰る。自由自在の空間。夜でも朝でもお構いなしだ。

楽しければそれでいい。彼らは将来の事は全く考えず幸せそうに見えた。

大勢が出入りすると家がどんどん汚れていく。3年程前にやっと中古の家を買って、せっかくリフォームしたのに見る見るうちに汚れていく。玄関には汚れた靴があふれて積みあがっていて匂いも臭い。

ひどいときは十六人が何回もコンビニに足を運び、お弁当屋おにぎりパンの袋。ドリンクの紙パックやペットボトルでごみ袋がいっぱいになる。一番嫌なのはみんながトイレに何回も行く事。

一人の子が一日何回もトイレに行くので十六人が何度も行けば当然水道代も跳ね上がるだろう。

冷暖房も使うので電気代もかかる。わざわざうちみたいな貧乏な家に来なくても、もっと裕福な家に行ってくれたらと何度も思った。

うちはひとり親で怖い父親の存在もいなく快適にくつろげるみたいだった。

来る子たちは母子家庭の子もいたがほとんどは両親健在だったので

自分の家よりかは羽を伸ばしてみんなとわいわいたまって楽しいのだろう。

まさしくたまり場だ。


 隣の畑山さんがうちのピンポンを鳴らした。


「ちょっとぉ、車入られへんから自転車どかして」


「すみません」


「ええよ、ええよ」


隣の畑山さんは、近所の食品会社にお勤めで日中お弁当の配達をしている。

年は五十歳過ぎで髪は金髪に染めている。目がぎょろっと大きく

とても、いかつい顔をしていて若く見える。

私は畑山さんが優しい人だということを知っていた。いつも顔を見たら挨拶を交わしたり会話もして普段からコミュニケーションも取れていた。


以前余ったお弁当を捨てるのも、もったいないからと何度もいただいたことがあった。幕の内弁当はどれも美味しかったが特にハヤシライスとうなぎ弁当は絶品だった。お米もとても、

つやつやで美味しかった。

配達が一段落してお昼休憩の為に毎日家に戻ってきた。


「畑山さん、すみません。友達いっぱい連れてきて」


「ええよ、ええよ気をつけて遊びや


みんな元気やなあ、ケガせんように気をつけて遊びや。でもすごい人数やなあ、こんなに入るの?」


「息子の六畳の部屋にぎゅうぎゅうずめに入ってるんです」


「へえ~ 大きい男の子が大勢六畳に入ってるの?マジで?すごいなあ」

と笑って話してくれた。


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