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赤松先生のお茶  作者: あきこ
11/14

十六台の自転車(一)

ある日仕事から帰ると、いつもより多い自転車が

十六台の自転車が家の前に並んでいる。

ただ事ではない。友人の数が増えていた。

そんなに自転車を止められたら近所にも迷惑がかかる。

家には見たこともない他校の子も来ていた。みんなわいわい楽しそうに過ごしている。

夕方になって


「さぁ、みんな時間やで家に帰りや」と伝えると

「はーい」と皆元気に返事をするが一向に帰らない。


余程、居心地がいいのか夜までいた。


次の日にまた同じメンバーがやって来た。

うちに来る子はみんなお金を与えられていた。といっても大金ではないが。

お腹が減ると各自好きな時にコンビニに行きペットボトルや

紙パックのドリンクとパンやおにぎりを買って食べる。

みんなそれぞれ自由に過ごす。中にはタバコを吸う子もいた。

たまったもんじゃぁない。これ以上見過ごすわけにはいかない。

優太に

「友達を家にいっぱい呼ぶな」と言っても


「いいやん、別に」という。


「あんたら、もう自分の家に帰り 外で遊び」


と言っても聞く耳をもたない。

今の子供は外で遊ばないのだろうか。

勉強もしない

特に目標とか、やりたいこともない。

私達がこの年の頃は、公園で遊んだ記憶があるが今は時代が変わって室内で遊ぶのか。


もう我慢できない。

先生に報告しよう。私は加島先生に電話した。


「先生、すごい困ってるんです。何とか助けてください。


優太が友達を家に大勢入れてしまって、


私が注意しても帰ってくれないんです。


私がいない時は入らないでほしいと言っても聞いてくれなくて」


先生も困った口調で「わかりました。お母さん少しお待ちくださいね」

と別の先生に電話を代わった。


「こんにちは、私は谷川中学校の、学年主任の赤松と申します

どうも初めまして」


加島先生から、平野の家に生徒が大勢来ていて

お母さんが大変お困りだということを聞きまして

一体どういう状況ですか?


「あっ、赤松先生ですか?初めまして、お忙しい所すみません。平野優太の母です。

いつも優太がお世話になっています。


あの~実は、すごい困ってるんです。

自転車が家の前に十六台停まっていて…………


今、うちに生徒が十六人も来ていて。


つねにしょっちゅう来るんです。十人の日もあれば十三人の日もあったり。


今日は十六人も来て注意しても帰らないんです。」


私は焦って必死で説明した。


「お母さん、十六人っていうのは一部屋に十六人ですか?」


「そうです。そうなんです」


「優太の部屋は一体何畳あるんですか?」


「六畳です。」


「六畳に十六人ですか?」


「そうなんです」


「ほう、どのようにして六畳に、一六人も入るんですか?」


「それが、それがですね 部屋に二段ベッドがあって、

その上に五人、ベッドの下に五人その横のあいた床の上に六人いるんです。

大体こんな感じで狭い所にぎっしりと固まってごちゃごちゃいるんです」


「ほう~、二段ベッドを活用して、うまい具合に立体空間を利用して入っているんですね」


「そう、そうなんです。とにかく困っているんです」


「それでみんな集まって一体何をしてるんですか?」

                               

「それがプレステでゲームしたり漫画を読んだり

雑誌見たり宿題したり、ケータイさわったり寝ていたり筋トレしたり


コンビニに行って何か買って食べたり。

みんなそれぞれ自由に過ごしているんです」


「そうですか、それは困りましたね…………

分かりました。

明日きっちり厳しく指導します。


それでも来るようなら、赤松宛に電話してください」


赤松先生はそう言ってくれた。


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