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赤松先生のお茶  作者: あきこ
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息子の電話対応

電話が鳴った。


「はい、もしもし」


「あーもしもし、輝幸さんはいますか?」


「えーっと、お父さんはいませんけど」


「いつ、帰ってきますか?」


「ちょっと わかりません」


「そうですか....じゃあ またかけます」


こんな電話が一日何度もかかってくる。


中学一年になったばかりの息子の 平野優太は毎日何度も電話をとる。


今度は私がとる。


「その人は引っ越して、もうここにはいませんよ。本人の携帯にかけてください」


「かけてもでないんですよ」


「でも、こちらにかけられても困ります」


私は溜息をついた。

よくもまあ、中学生になったばかりの十二歳の息子に借金取りの電話対応をさせて

ひどい父親だ。


二年前に離婚した元旦那の輝幸は、二キロ程先のマンションで暮らしている。

私は出るまで電話をかけまくった。


「はいっ、 おう お前か? なんか用か?」


「ちょっと、いい加減にして

毎日サラ金みたいな電話が、いっぱいかかってくるんやけど

優太が毎日何回も電話取ってるで、かわいそうと思わへんの? 何とかして」


「ああ、そんなんほっといたらええねん」


「そんなひどい無責任な

でもいっぱいかかってくるねん」


「ほっとき、ほっとき 命まで取らへんわ」


輝幸は、悪びれる様子も全くなくけろっとした口調で言い放った。

いつもこんな調子で人に迷惑をかけている様子は微塵もない。

来る日も来る日も電話は続いた。


「お母さん、お父さんに毎日知り合いからいっぱい電話がかかってくるけど

お父さん友達めっちゃ多いやん」


どうしようか迷ったが説明することにした。

教えてあげたほうがいいと思った。


「優太、あれはサラ金の取り立ていうてな、お父さんがどっかの業者から、いくらか

お金借りていて返してないねん。それで取り立ての電話がじゃんじゃんかかってくるねん

友達と違うねんで」


「えっ、そうなん?」


「ここに、かけてこられても困るしなあ、めっちゃ腹たつわあ

優太は大人になっても絶対に変なお金の借り方したらあかんで、とんでもないことになるで」


「うん、わかった」

電話は三ヶ月程続いて落ち着いた。


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