第30話 :コア
「コアは初めてだよね?実施訓練で国家総堂に行くの。」
あの約束の日からもう3ヶ月がたとうとしてた。
「実・・・施・・訓・練?」
先輩であるクレズの言葉に私は首を傾げる。するとクレズは笑っていた目を開くと、私に聞き返した。
「知らないのっ!?」
私がコクンと首を上下に揺らすと、彼女は嘘!!と驚きながら私の腕を引っ張っていった。
痛いくらいに強く引っ張っていかれた場所は、大きな広場の真っ白な大きな紙の前。
「ほら、ここに張り出してるでしょ!?
わたしは総交省。コアは・・・・・・・・・・・え・・?」
その大きな真っ白の紙に、クラスSとAの生徒の名前と部署がかかれている。
私はぼーっとその紙を見ていると、私よりも先に私の名前を見つけたクレズの声に驚いた。
「どうかしたの??」
「・・・嘘・・・・・・・。」
私の名前を見つけたような彼女に、どこ?と私は彼女の目線が捕らえる場所を精一杯探した。
「あ、あった!・・・総予省??」
ただ読み上げるだけの私の言葉にクレズが驚く目を向ける。
「何?」
私がどうしたのかと聞くと、クレズはその空いて塞がらないような口をようやく動かしていった。
「総予省っていったら、他の部署なんかと比べらんないくらい大変なの!!」
へー、と私は少し驚いてみせると、クレズは“へー、じゃない!”と少し怒る。
「毎年、朝から晩まで休む暇なんか与えてくれないの!!体だけならまだしも、脳みそまで動きっぱなし!」
その売り文句のような話し方に私は思わず笑ってしまう。
話しには聞いたことがあるから、何となく何をする所かくらいは知ってる。
クレズの行く、総交省は総ての外交を受け持つ部署。
そして私の部署は、この国の総ての予算管理を任されている部署。
「笑い事じゃないわ!!去年、私のクラスから総予省に優秀な男の子が行ったけど・・・。
ちょっと文字を打ち間違えて、退学したの!!小さなミスが大きな事故を巻き起こす。
それくらい重大な責任を必要としている上に、能力、体力まで必要とするのよ!?」
勢いよく話すクレズの熱弁で、内容は良くわからなかったがとても大変だという事は少し分かった。
「でもね、楽しそうだよねっ!」
セルスはよく言ってたもん。他の人より努力すればするほど、力はつく。
他の人より動けば動くほど、経験すればするほど、成長できるって。
そんな事を思いながら笑う私を、彼女しばらく見つめてそれからため息をついて笑った。
「・・・コアにはきっと、何言っても無駄なんだろうなぁ。」
もうっ、と呆れた声をだして彼女は笑う。
「私、精一杯やるから平気だよ!」
その笑顔につられて笑うように、私も笑う。楽しみで仕方ないの。
少しでもセルスに近づける?そんな思いでいっぱいの心は、弾みに弾んでいた。
あの約束を一秒でも果たしたいの。待っててもいい。
でも、待っていられるくらいの力がほしいの。すぐ隣で、彼が全てを手に入れるのを見ていたい。
だから早く成長したい。
少しでも早く、彼の隣に立てるように。