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第9話 :セルス

「まさか・・・一時間コールだけに使ったのか!?」


目の前で平然と笑うコアに向かって言った。


「え、うん。」


当たり前、というふうに答えるコア。

コアを教えているマスター・リースと言えば、学校で3本の指に入る腕利きのマスター。

白竜を操るコアにはぴったりだと思っていたのに。

そんな思いでソファーに座りこちらを見てくるコアの眼をみた。


「で。どうしてお前は俺の寮にいる?」

「セルスに報告〜」


5日間、たった5日間だった。

コアが家からいなくなったと聞いて、自分の大会そっちのけで探した。

手伝ってやるといったのに、コアは何も言わずに俺の傍からいなくなった。

で、いきなり帰ってきたと思うと

連れてきたのは幻の白竜で、にこやかにごめんと謝る。


「でてけ!!」


どれだけ心配したと思っている?

お前は知らないんだ。・・・俺にとって、お前は他の女と、違うって事。


「いやぁ〜!!」

「何しに来たっ?!」

「・・・・・・・会えなかった4日分の充電?」


5日だ。と無言で睨みつける。


「好きだから、来ちゃダメなのっ?!」


そういう問題か?


「セルスの意地悪〜」


意地悪で結構。

だいたい、男の部屋に女1人で来るなといつも言っているはずなのに。

・・・まぁ、コアだから仕方ない。


そう思いながら、きっとそれを許す理由があるから追い出せないんだ。

“今日も大好き♪”

彼女が俺にくれた言葉。

あれは別に、無視したわけじゃない。

きっと顔を見ていると、よからぬことをしそうになるから。


「もう帰れ。」

「やぁ〜。」


本気なのか。冗談なのか。

全くつかめない。昔からずっとそうだった。

気づけば傍から離れて、全く分からない場所に迷い込んでるし。

気づけば何でも一人でしようとして、凄い事をやらかす。


「・・・帰ってコールの練習してろ。」


いつか、探しても見つからないくらい遠くに行ってしまう気がする。

だから、どうか。ここにいて欲しいと、素直にいえたらいいのに。


「はぁ〜い。」


おとなしく、俺の隣で座ってくれているだけで充分なのに。

彼女は椅子から立つと、部屋の扉を静かに引いて

振り向きながら言った。


「また来るね!」


来なくていい。


「来るな!!」


俺が、行くから。

いつもいつも逃げられてばかりで。

俺が捕まえるんじゃなくて、いつも捕まえられてばかりで。


「ぶー、ケチっ!」


いつか、捕まえられる? まるでドラゴンのように自由な君を。



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