プロローグ
高校に入って、人生が変わった。
良い意味ではなく、悪い意味で、だ。
中学の頃イジメ被害を見てしまった俺、しかしそれを見て見ぬ振りをしてしまった俺。
これはその報いなんだろう。自業自得と言われても仕方がない。
一年の頃は、イジメの欠片すら見当たらなかった。
二年の頃から俺はイジメを受けるようになった。なんで今頃なのか分からない。
俺は自分に正直だ、人に合わせる事が出来ない。
恐らくそれが原因なんだろう。
馬鹿のようにも思える。
これなら、イジメを受けていても構わないくらいだ。
こんな底辺の奴等なんかと一緒にいるだけで虫唾が走る。
中学の頃のイジメの原因もそんな感じだったのだろうか?
よくネットの書き込みなんかで見る「イジメ受ける奴は受けている奴が一番悪い」という書き込み。
安心しろ。それは「イジメを行っている人の意見」であって「客観的にノーリスク」の人がそんな事を言えるわけがない。いずれも経験をしなければそのような意見は絶対に出ないんだ。
なら、「イジメを行っている人をイジメて反省させよう」という意見は通ると思うか?
答えは「通らない」だ。
イジメを行う人の種類は二つある。
一つは力があり、群れで行動する人間。
二つは周りに合わせ、群れで行動する人間。
絶対的に群れで襲ってくるところが面白い。
以前俺はイジメ被害にあった時、一人になったところをボコボコにしてやった事がある。
そう、一人じゃ何も出来ないんだ。
集団意識の高い奴は孤独の人間を嘲笑う。
自分が強くなったと勘違いしている馬鹿は、実は弱い。
俺がさっき挙げた共通点の前者の部分も、力があるだけの人間。
まあそんな事はどうでもいいか。
兎に角、俺は高校へ行かなくなった。
ただ、面倒になったんだ。
疲れた。教師の授業は面白くないし、ただ教科書通りにしかやらない授業。
マニュアル通りにやってればいいんだ、教師も大変だな。
俺は不登校になって、家に引き籠もるようになっていった。
大好きだった剣道もやめた。
何もかも捨てたんだ、俺は。……いや、捨ててやったんだ。