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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

マッシュルームVSぶなしめじ

作者: 智橋穂高

 某幼女向けアニメ映画の告知から発想し、約五年ぶりに書いて見ました。

 僕が初めにそのことに気がついたのは、中学に入って少しした頃だった。

 クラスメイトに「そーいえば、小学校のキャンプでさぁ」と話しかけられたのだが、僕の中にはそんな思い出など無かったのである。

 それだけなら、クラスメイトの勘違いか僕が忘れっぽいかですむ話なのだが、どうにも気になった僕はその日の放課後に

、幼稚園からの幼なじみである、洋一郎と里ちゃんを家に招いたのだった。

 そして僕らは小学校と幼稚園の卒業アルバムを囲み、沈黙した。

 僕らは十年近く一緒に居たくせに、僕らの中には語るべき思い出が何一つ無かったのである。

 いよいよ危機感を抱いた僕だったが、その日の深夜に運命的な出会いをはたす。

 失った思い出と不安に寝付けなかった僕が、水を飲みに入った台所で彼はーー翌朝、味噌汁の具になる予定だったぶなしめじはーー語ったのである。

 いわく、僕らが思い出を無くしたのは、マッシュルームの陰謀であると、そして、このままでは、僕らの未来が変わってしまうとも。

 まぁ、そんな話を聞いたって、その時は「寝ぼけてるのかな?」とか、「ぶなしめじとマッシュルームの仲が悪いのは、両方白いきのこだからかな?」とか、そんなことしか考えなかったのだが。


 翌朝、休日だというのにぶなしめじに叩き起こされるという稀有な経験をし、きのこにせっつかれた僕は、洋一郎と里ちゃんを我が家に召喚した。

 ぶなしめじは三人揃った僕らを眺め回し、やがて満足したようにひとつ頷くと、僕らのあったはずの未来について話しだした。


 科学が大好きで、夏休みの自由研究では毎年賞を貰う洋一郎は、将来、若くして大発明をする事。

 男の子よりもヒーローが大好きで、当時、少し早い中二病をこじらせていた里ちゃんには、里ちゃんが将来世界を救う事。

 小学校低学年から一途な僕は、大好きなミキちゃんと結婚出来る事。


 中学生なりに思い描いていた限りの最良な未来がマッシュルームに邪魔されていると知った僕らは、俄然やる気を出した。


 西へ東へ未来へ過去へ、地下帝国も成層圏も舞台にした僕らとマッシュルームによる盛大な戦いは、一年にも及んだ。

 途中で、里ちゃんと洋一郎が恋仲になったり、クラスメイトの一部がマッシュルームの手先であったりしたが、まぁ今はその話は良いだろう。



 僕らの戦いが終わり、しかし、僕らの絆は変わることなく、干支が一周して現在。僕は25歳だ。

 そして、世界は概ね不幸である。


 洋一郎は確かに一昨年大発明をしたが、世紀の大発明どころか、千年くらい先の発明だった為、世界にいらぬ戦火をばらまいた。

 里ちゃんは確かに世界を救ったが、それは洋一郎の心というとても小さな世界だった為、世の中は今でも、戦火と貧困と訳の分からない不幸で溢れている。



 僕?

 僕はきっと、こんな世界の中で一番の幸せものである。

 僕は大学生の時にミキちゃんと結婚し、永遠の愛を誓い合った。死が二人を分かつまで。というやつだ。

 その後、僕たちは不幸な誤解を重ね、一度別れてしまうのだが、優しい洋一郎の研究成果により、ミキちゃんは生きている。



 浮気も浪費もしなくなった僕の物言わぬ奥さんは、今日もかわいい。

 読んでくださり、ありがとうございました。

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