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時の扉  作者: かいひろし
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不思議な感覚(2)

 そして、運命の日が訪れた。平成二十三年三月十一日、午後二時四十六分のことである。忘れもしない天変地異が、僕らの住む日本を襲うことになる。

 突如として、揺れがはじまり。体験したことのない、大きな揺れが長い時間のこと続いている。

(やばい、このままでは危険である。外に飛び出そう!)

 揺れが大きい中、玄関までたどり着く。正直、家が壊れると思ったことは、僕の正直な感想である。

 外に飛び出すと、車が激しく揺れていた。そして、電信柱の電線も見た事のないくらいに揺れているのが目に入った事は恐怖を感じたとしか言えない。

 ある程度して、揺れが収まる頃である。僕は、母がパーマをかけに美容院に行っていた事に気がついた。近くの国道に、歩いて行くと、車が長蛇の列を作っていた。

(当たり前なんだよな。みんな、地震で慌てている)

 冷静になって、交差点まで歩いてゆくと、ある事態に気がついた。車の渋滞の訳が分かった瞬間である。

「信号が付いていないじゃないか。停電なんだ!」

 交差点では、お巡りさんが交通誘導の最中であった。支持を受けて、向こうの舗道の方に歩いてゆく。

 その時も、大きな余震があって、建物が激しく揺れていた。僕はこの時、ある想いが心の中を過ぎった。

(沿岸地域は、どうなっているんであろう。津波が襲うんではないか)

 夢にまで見た、惨状が的中するとは悲しい限りである。その想いを胸に、母の安否を確認することになる。

 その母は、九日の日に、実家の遠野市から僕の家を訪れていた。まさしく、電車から降りた直後に、九日の地震を経験していたみたいである。

「怖かったよ。コンビニで買い物している時に揺れたんだ!」

 九日に、駅まで迎えに行った際に、母が目を丸くしていた。

しかし、後から解かった事であるが、実家の仏壇が考えられない位に転んでいる事を知ったのは、バス路線がどうにか遠野まで行けるようになってからである。

僕は思った、住んでいる家の損傷はなく、買ってきた器に、被害はなかった。そして何点か、不思議に思ったことがある。

まず、父のいた部屋に、石で出来た小さな燈篭とうろうがある。それは、地震で瑜一、包装していない土瓶蒸しの器を直撃していた。

 土瓶蒸しの器は破損しやすいと、僕は思っていた。結局、後から感じたのであるが、一身に仏壇だけが、身代わりになってくれていたのだ。

 その仏壇も、僕の代わりに叔父が直しに来てくれて、元の状態に戻っている。

 僕は、感謝の念を抱いて、今、文章を綴っているのだから。まさしく、神と先祖に感謝したいと思います。


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