第二話 アリバイを崩せ 第五部「後日談」
あの夜から数か月後、犯人が逮捕された。そして、事件の全貌が明らかになった。
あの夜から数日後、僕たち家族は大曽根にある回転すし「正寿司」で、おなかいっぱい食事を楽しんだ。
そういえば家族そろって外食をしたのは、本当に久しぶりだった。
さすが刑事の家庭というべきか、お父さんもお母さんも、お酒を飲んで酔っ払っているのに、あの夜のことは一言もしゃべらなかった。
代わりに、新しい世紀を迎えた2000年頃の名古屋の思い出話に花を咲かせていた。
当時の名古屋は、何といっても栄が一番の繁華街で、今の名駅前よりも賑やかだったこと。
女子大小路という小路が一番の歓楽街だったこと。
僕が初めて聞く話も多かった。
二人は当時の思い出を掘り起こしながら、あの夜の出来事を、その奥深くにそっと埋めてしまおうとしているようにも見えた。
家に帰ってから、僕はクリスに「寿司を食べているクリスのイラスト」をリクエストして、デスクトップに貼り付けた。
そこには「一番高い金色のお皿を高々と積み上げた横で、満足そうにポーズをとっているクリス」が描かれていた。
僕は改めて思った。
──いつか本当に、クリスにお寿司を食べさせてあげたい。
あの夜から数か月後。
名古屋城の桜が満開だというニュースが流れるころ、キッチンテーブルの上に中央日本新聞が広げて置かれていた。
見出しには、
「県警!時効まで9か月の逮捕劇」
と大きく書かれていた。
記事には、
「防犯カメラの映像から見つかった矛盾点を追及されたこと、
その時間に千種から丸の内へのタクシーの走行履歴が残っていたことなど、
状況証拠を突き付けられたタクミが自白した」
とあった。
きっとお父さんが置いたのだろうが、家族がその話題に触れることはなかった。
テレビでは、中日放送のワイドショーでも取り上げられていた。
それによると、タクミはナンバーワンホストだった頃、店の売り上げを着服していたことをマサヤに知られ、
「毎月30万円の口止め料を払うよう脅されていた」
らしい。
ご当地芸人のモコボンは、いつもの調子でこう言って茶化した。
「着服したお金よりも多い口止め料を払うことになったなんて、犯人も本当にオマヌケなキャラよねえ。
着服しようなんて悪いこと考えなきゃ、人殺しすることもなかったでしょうし。
まったく、バカなお・と・こ。」
殺人設計士については、今回の番組では触れられなかった。
あれから25年……都市伝説として、もう風化してしまったのかもしれない。
僕の頭には、ふとこんな疑問が浮かんだ。
──あの完璧とも思える計画は、本当にマサヤ本人が考えたものだったのだろうか?
それとも……?
「マサヤも、そのくらいにしておけば、命までは落とさなかっただろうな。
遅かれ早かれ、誰かに殺されていたんだろうか?
もし、AIの開発が数年遅れていたとしたら、この時効は成立したのだろうか?」
そんな考えが、頭の中をゆっくり巡った。
司会の小川アナは、
「20年前とは違い、今回の捜査ではAIが大活躍したこと、特に防犯カメラの映像を解析し、中に入っている物の重さまで推理したこと」
に触れたあと、
「でも、AIが身近になりすぎて、ちょっと怖い気もしますね。
そのうち人間が支配されちゃうんじゃないかなんてね」
と笑いながらコメントした。
その言葉は、あまりいい気持ちはしなかった。
これから先の人類はどうなっていくのだろうか?
どんなふうにAIと共存していくのだろうか?
僕は最近、気づいていた。
──AIを研究する大学に進学したい。
そんな自分が、確かに心の中に生まれていることに。
お読みいただき、心からありがとうございます。
この作品は、私が書いた原稿をAI(Copilot)と一緒に磨き上げながら作っています。
一緒に推理しているような気持ちで書いているので、続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。




