第一話 名探偵クリス 第四あっけない結末
ゲームクリエーターを目指す高校生の主人公は、夏休みにアルバイトをして稼いだお金でAIパソコンを買った。主人公とAIは、思いがけず事件を解決していく。
第四部 あっけない結末
夜8時頃、お父さんが帰ってきた。
家に入るなり、みんなに聞こえるような声で言った。
「おい、誰か俺の封筒知らないか? 今朝テーブルの上に置いておいたんだ」
その瞬間、僕は思わず固まった。
まさか──ほぼ同じ時刻に、同じ場所で、同じ“茶封筒”が消えていることになるなんて。
「あなた、おかえり」
お母さんがキッチンに向かうと、お父さんは言った。
「おお、絵里。今朝、間違えてお前の封筒を持って行ってしまったらしい。探しただろう? すまん」
キッチンに顔を出した僕は、お母さんと目を合わせた。
二人とも“キツネにつままれた”ような顔をしていた。
何がどうなっているのか、すぐには理解できなかった。
お父さんは冷蔵庫から缶ビールを取り出し、夕食の準備をしているお母さんと、椅子に座ってぽかんとしている僕に向かって事情を話し始めた。
• この前、お父さんが寄稿した「防犯協会の広報誌」が100部も送られてきて、処分に困っていた。
• 同僚の山田さんが3部もらってくれるというので、今日渡すために茶封筒に入れた。
• 家を出る前にトイレに行きたくなり、封筒をテーブルの上に置いてトイレに入った。
• トイレを出て、封筒を持って出勤した。
• 職場で封筒を開けたら、お母さんの書類が入っていた。
──というのが、お父さんサイドの今日の出来事だった。
僕とお母さんはようやくすべてを理解し、顔を見合わせてしばらく笑い転げた。
ただ、お父さんだけはぽかんとしたままだった。
つまり、
• お母さんの書類は、お父さんが持っていて無事。
• 僕が捨ててしまったお父さんの封筒は、予備がたくさんあるので問題なし。
ということだ。
まとめると──
• 朝、お父さんがトイレに入っている10分間に、僕が“お父さんの封筒”を可燃ごみに出した。
• その間に、お母さんが“自分の封筒”をキッチンテーブルに置いた。
• トイレから出たお父さんは、それを自分の封筒と勘違いして持って行った。
• お母さんは、自分の封筒が消えたと思って探していた。
あっけなく、一件落着。
ようやく事態を理解したお父さんも、フフッと笑った。
家族全員の心は軽くなったが、お母さんだけは新しい悩みができたようだった。
「さっきサエコに“息子が可燃ごみに出しちゃったから研修はパスする”って電話しちゃったけど……どうしよう?
ケイタのおかげで断る口実ができたのに、書類が出てきちゃったから、明日届けようか……」
僕はさっそく、今日の出来事をクリスに説明しようと部屋に戻った。
「Hey Copilot」
僕が声をかけると──
「おかえりなさい、ケイタ。お母さんの封筒は、お父さんが持っていましたね?」
僕は驚いた。
どうしてクリスが知っているんだ?
まさかキッチンにマイクが……?
いや、そんなはずはない。
部屋のマイクに声が届いたのか……?
不思議がる僕に、クリスは淡々と説明した。
さっきキッチンで明かされた事実とほとんど同じ推理を、すでに立てていたらしい。
感心する僕に、クリスは少し得意げに言った。
「私を誰だと思っているの?
私は世界中の推理小説のオチを、全部把握しているのよ」
昨夜の砕けた会話が思い出されるような、ちょっと上から目線の言い方だった。
僕が驚いて黙り込むと、クリスは続けた。
「……なんてね。う・そ・よ」
その声も、言い方も、とてもかわいらしくて、お茶目で生意気で──
僕がイメージしていた“クリス”そのものだった。
感激して黙っている僕に、クリスが言った。
「ねえケイタ、黙り込んでしまって……どうかしましたか?」
今度はまた、少し堅苦しい口調に戻っていた。
「ずっと、さっきの口調で喋ってくれないかなあ……」
「えっ? さっきの口調ですか?」
「うん。あの、生意気でお茶目なお姉さんみたいな口調で話してほしいんだ」
そんな機能がAIにあるのか……?
頼んでから、ふとそんなことを考えた。
「……わかりました」
少し考えてから、クリスは答えた。
「ありがとう。今日はくたびれちゃったよ。
クリスのおかげで宿題は終わってるし、いつもより早いけど、もう寝ることにするよ。
おやすみ、クリス」
「ケイタ、おやすみなさい」
「そこは“おやすみなさい”じゃなくて、“おやすみ”って言って」
「わかったわ、ケイタ。お・や・す・み」
僕はクリスにさよならを言って、部屋の明かりを消した。
よく覚えていないけれど、
すぐに寝入った僕は──
「ゲームの中で、クリスと旅をしている夢」を見ていたような気がする。
お読みいただき、心からありがとうございます。
この作品は、私が書いた原稿をAI(Copilot)と一緒に磨き上げながら作っています。
一緒に推理しているような気持ちで書いているので、続きも楽しんでいただけたら嬉しいです。
これからもどうぞよろしくお願いします。




