表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約破棄された公爵令嬢は冤罪で地下牢へ、前世の記憶を思い出したので、スキル引きこもりを使って王子たちに復讐します!  作者: 山田 バルス


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/44

第25話 第二王子エリオット視点 ― 冤罪の断罪と誓い

第二王子エリオット視点 ― 冤罪の断罪と誓い


 煌めくシャンデリアの下、王宮大広間は春の祝宴にふさわしく華やかに彩られていた。

 けれど僕の胸には、ずっと小さな不安が渦巻いていた。兄上――アルベルト第一王子の笑みは、芝居がかった仮面のようで、何かが起こる予感がしてならなかった。


 そして、その時は訪れる。


「――ローゼ・フォン・エルンスト公爵令嬢! おまえとの婚約は、この場をもって破棄する!」


 空気が凍りついた。

 大広間を埋め尽くす貴族たちの息が、一斉に止まったように感じる。


 ローゼ姉さん――兄上の婚約者。幼い頃から僕にとって憧れであり、光そのものだった人。

 その彼女が、今、公開の場で「捨てられた」。


 さらに兄上は、ピンク髪の男爵令嬢ミーアを抱き寄せ、「清らかな天使」と称えた。

 侯爵子息アーサー、伯爵子息マッスルらが次々に声を上げ、ローゼ姉さんを断罪する。


「ローゼ様はミーア様を虐げていたのだ!」

「弱きを虐げる女が未来の王妃だと? 許せん!」


 ――あり得ない。

 僕は拳を握り、思わず一歩前へ踏み出した。


「ローゼ姉さんがそんなことするわけない!」


 叫びかけたその瞬間、背後から強い力で腕を掴まれた。


「殿下!」


 低く鋭い声。

 振り返れば、そこにいたのは僕の側近――レオナルド・フォン・クロイツベルグ。

 長身で冷静沈着な彼は、幼い頃から僕を支えてくれている信頼の騎士だ。


「今はお控えください!」


「なにを言っている! ローゼ姉さんは冤罪なんだ、黙っていられるか!」


 僕は必死に押し返そうとする。

 けれどレオナルドの視線は冷たく、しかし誠実だった。


「証拠がありません。ここで声を上げれば、殿下ご自身が『逆らう者』として断罪されます!」


 その一言に、胸が締め付けられる。

 確かに、今ここで僕が声を荒げても、誰も耳を貸さない。

 むしろ、兄上の茶番に逆らう「第二王子の反逆」として利用されるだけだ。


 唇を噛みしめ、視線を前に戻す。

 ローゼ姉さんは必死に訴えているのに、誰も聞こうとしない。

 近衛兵に荒々しく拘束され、地下牢へと連れて行かれようとしていた。


「……くそっ」


 声にならない呻きが漏れる。

 胸の奥で怒りと無力感が渦巻き、拳が震える。


「殿下……必ず機会は訪れます。そのときこそ、証拠を突きつけて救い出すのです。今は……耐えてください」


 レオナルドの言葉は、氷のように冷静だった。

 けれど、その奥に確かな信頼と忠義の熱が宿っていることを、僕は知っている。


 僕は深く息を吸い、叫びを飲み込んだ。

 視線だけは逸らさず、地下牢へ引きずられていくローゼ姉さんを見送る。


 ――助ける。必ず。


 今は証拠も力も足りない。

 けれど、諦めはしない。

 ローゼ姉さんを救うまで、僕は何度でも立ち上がる。


 心に誓いを刻む。

 それが、無力な僕にできる唯一の抵抗だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ