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目指すベッドではなく、モフモフ目がけダイブしアスファルトの塊に沈んだことを思い出し音のない悲鳴をあげた。
ならこのふわふわの浮遊感は病院のベッドの上で無ければいけない、いやそう願わずにはいられない。
微かに感覚を思い出した躰が痛みを訴えうるさい程の心臓に汗が滲む、生き延び得た、望んでなどいなかったのに。
どれだけの時間意識を失っていたのだろう瞼をあげるのも一苦労なほど力が入らない。
薄暗いおかげで眩しさも感じずにはすんだけれど、ここは明らかに病院ではないことは理解できた。
簡素といえば聞こえはいいが粗末な部屋に不釣り合いな豪華なベッド、その上で青白い足に巻き付く鎖を他人事のように眺めていた。
どうやらこの足は私のものらしい、爪先を丸めたり伸ばしたり自由自在なのだから。
鎖に手を伸ばそうとしてさらなる違和感に戸惑う、血色は昔から悪かったけれど、指の長さが微妙に違っていたのだ。
特別不格好な訳じゃないがあと少し長さがあったらと何度も思っていたのに、今は指輪の似合いそうな理想的な手になっていた。