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もう一つの世界へ

TSを入れれなかった侍。悔しすぎるんだが。

 世界初のVRMMOが発売された。 抽選で10万人にダイブ用デバイスと今作「World Of Another」が配布され、その入手確率はとてつもなく低かったが、ラッキーガールな私は運良く手に入れることができた。


 ログイン開始まで後 3分、トイレも家事も仕事もお風呂もきちんと済ましているので準備万端だ。


 ちなみに実家暮らしで一人っ子の私は現在父と二人暮らし中。一人暮らしでもよかったのだが、家事の大部分を担当していた母が亡くなっているので私がいないと家事が絶望的な父は終わる。なのでそんな父のために実家に残って家事を全部やってあげているのだ。まぁその代わりに家賃は父の稼ぎから払ってもらっているのだが。


 中学校以来、どこか空虚な生活を送っていた私は他人とは違う何かになりたくて、何かをしたくて、メイド喫茶で働いたり、配信をしてみたりした。でもメイド喫茶でもNo.3、配信でも同接200が限界だった。結局ちょっと特殊なことをしても有象無象からの脱却はできなかった。虚無感がなくなることはなかったのだ。


 そんなある日、勤務先のメイド喫茶の店長から見せられた映像があった。


 ──世界初のVRMMO「World Of Another」!! もう一つの君の身体でこの広大な世界へ旅に出よう!! 


 それは見たこともない光景だった。浮いている大地や見たことのない生き物の数々、杖から放たれる綺麗な炎。どれも現実にはない目新しいものばかりで私の心は久々に高鳴った。


 ……このゲームなら私を満たしてくれるかもしれない。


 そう思って応募したら当選して今に至るというわけだ。ゲーム内のイベントとかがあれば上位入賞したり、他とは違うプレイで目立ってやりたい。私は承認欲求モンスターでもあるのだ。


 ダイブ用デバイスを頭に装着し、ログイン開始を待つ。このゲームで唯一無二の存在になってやると心に誓うと同時に私の意識はもう一つの世界へと吸い込まれていった。



 ****



 真っ白な空間、その中心にいるのはメタリックな少女と私の2人のみだ。しかし、そんな空っぽな景色さえ私には輝いて見える。


「ようこそもう一つの世界へ。私はガイド用AIのS-27、通称ニーナです。今から貴方様の初期設定のガイドをさせていただきます」


 可愛らしくも無機質で平坦な声でそう言うガイド用AI。今作のNPCはとてもリアルだと聞いていたがこのガイド用AIはすごく人間味のない喋り方だ。外見に努力値を振りすぎて喋り方に振れる努力値がなかったのかもしれない。というかこのガイド用AIは少女のアバターである必要はあるんだろうか。しかも少女は少女でも小学校5,6年生といった感じの容姿だ。運営はなかなかいい趣味をしているのかも。なんてことを考えつつ、軽く会釈を返す。


「まず貴方様のお名前を教えてください。他プレイヤーとの名前の重複は不可能なので、重複していた場合は別の名前にするようお願いいたします」


「名前はレイ、重複していたらリンにしてちょうだい」


 由来はどちらも本名からだ。鈴木麗奈だからレイ、もしくはリン。……単純すぎるような気もするけどまぁ気にしないでおく。


「データを確認中……、確認完了。重複が無いようなのでプレイヤーネームをレイで決定いたしました」


「次に、種族を選択とアバターメイクに入ります。選ぶ種族によって初期ステータスが異なるのですが、説明を聞かれますか?」


「いや、事前に見といたから大丈夫」


「かしこまりました。それでは種族を選択して下さい」


 今の会話から分かる通り、このゲームには種族が存在する。ヒューマン、エルフ、ダークエルフ、ドワーフ、ノーム、獣人の6つだ。


 この手のゲームにある定番かもしれないがヒューマンは初期値の上下がなく、扱いやすく器用貧乏な感じ。他の種族は能力どれか一つが高くなり、同時にどれか一つが低くなるといった感じになっている。


 事前に開示されているデータを見て、それぞれの種族のデータを見て選ぶ種族を決めていたので、迷わずに答える。


「ダークエルフでお願い」


 ダークエルフはINTの初期値が5上がり、RESの初期値が5下がる種族だ。ついでに容姿も肌は明るさこそいじれるが褐色固定になる。能力的な話だと魔法攻撃力が上昇する代わりに魔法防御力が低下、ついでに状態異常耐性も低下って感じだ。格闘技とかやったことないから近接戦闘はできる気がしないし、映像で見た魔法に憧れたから魔法適正が高いダークエルフにした。


「種族をダークエルフに決定しました。次にアバターメイクに入ります。特にこだわりがなければ、最低限髪の色や目の色だけでも変えておくことを推奨します。また、現実と違いすぎる体型にするとプレイに支障が出る場合がございますのでそこを考慮した上でアバターメイクをするようお願いいたします」


 ガイド用AIがそういうと、虚空に私のアバターが現れる。まだ何もいじってないので容姿はスキャンされた私のまま……ではなく、種族をダークエルフにした影響で褐色肌になってる。我ながら美麗な顔なので特に顔はいじらず、身体も胸が邪魔な気もするが変にいじってリアルと違ったら違和感が出る気がするのでいじらないでおく。そこから髪を銀髪に目の色を紫にして完成。髪と目と肌の色が違うだけでだいぶ印象が変わる気がする。普段は冷たい印象を持たれるがなんか凛々しい感じというか力強い感じに見える。目は相変わらずなかなかに鋭いけど逆にそれが凛々しさみたいなのに拍車をかけてていい感じ。


 アバターメイク完了が完了したことを伝えると、今度は職業を決定をすると言ってきた。職業は生産、戦闘職含めて数十種類あるが、私は魔法を使いたいので魔法使い一択である。


 職業を決定した後はSTP(ステータスポイント)の割り振りだそうだ。ステータスはいわゆるSAVDIRの6つ。意味はSTR(筋力) AGI(敏捷) VIT(体力) DEX(器用) INT(知力) RES(抵抗)になってて、ここでのDEXは飛び道具の命中率だけでなく、飛び道具の攻撃力にも影響を与える。あとSTRは装備条件に必要だったり、VITとINTは1STPごとにそれぞれHP、MPを3上昇させたり、RESは状態異常耐性にも影響を与えるといった感じでどれも一長一短って感じだ。


 それぞれのステータスはヒューマンが基準なのでヒューマンを例にして言うと初期値がALL10。この10という数字が基準だ。さっきも言っていたが、私はダークエルフを選んでいるのでINTの初期値が15、RESの初期値が5となっている。


 そしてSTPは最初に10与えられるのでそれを割り振る形。種族の尖っているところに割り振るのが通常だが、私は被弾を極力減らしたいのでAGIに10全部ぶち込む。だったらAGIが上がる種族にしておけよと思うかもしれないが、AGIが上がるのは獣人でそこにはINTダウンがアンハッピーセットでついてくるのでNGだ。


 そうしてできた私のステータスが完成し、最後にチュートリアルで動作確認。特にエリア移動するわけでもなく、真っ白なこの空間で行うみたいだ。走ってみたり、ジャンプしてみたり、シャドーしてみたりして、AGI上昇分の速度にも慣れ、違和感もなくなったのでチュートリアルを終了する。操作感は最高、ゲームだしって思ってバク宙とかに挑戦してみたら意外と簡単にできて結構たのしかった。


 チュートリアルも終わったので今からは始まりの町、プリンシピオに転移だ。チュートリアルに時間をかけすぎたのか30分くらい経過してるので少し出遅れたかもしれない。


「それでは、レイ様。もう一つの世界へいってらっしゃいませ」


 そんな言葉とこれから始まる冒険へのワクワク感と一緒に私は視界は真っ白になった。
























あらすじと文章の雰囲気が違いすぎて笑う。

あ、作者くん高評価くれたらモチベ上がって続きやすいらしいで!あと感想くれたり応援もらえると頑張るかもしれへんって!

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