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ブラックシャーク、潜航せよ!  作者: @12
序 章 アレストニア王国篇
4/13

DEPTH001 敵兵救助

「――ウェエッ!?」


「いいから、早く!」


 航海長であり副艦長――那珂野なかの史果あやかの実姉にあたる那珂野なかの羽留奈はるなが慌てた様子で自身の前にある操縦桿を右手で握りながら左手で【浮上/潜航】と書かれているシールの下に位置するレバーを操作し始めた。


「た、タンク・ブロー、浮上します!」


「機関最大! そのまま」

「出力最大! 機関圧力許容範囲をオーバーしています!」


 機関室は文字通りの限界寸前という有様になっていた。浸水した海水が、主機関である海水分離式主機関の送風口に浸かろうとしていた。


 そして勢いよく海面に飛び出した艦首部分が、ケーキを切り分けようと落とされたナイフの様に海面に落ち潜水艦を出現させた。


「周囲に水上艦、確認出来ません」


「よし、じゃあ。 3番発射管、発射扉開け!」


 水雷長の海田うみたかおりが目配せで合図を出すと、それを受け取った沖野海斗は「ぅてっ!」と令した。


 3番発射管より飛び出した無誘導魚雷は、そのまま海中を泳ぎ駆潜砲艦の乗員を救助しようとしていたA-50型魔導巡洋潜水艦の4番艦A-53に命中し続けて5番発射管より発射された無誘導魚雷はその下方を掠めた。


「無誘導、1本命中。もう1本は外れたかと・・・。 追撃しますか?」


「いや、1本当たるだけでも、潜水艦にとっては致命傷だ。放っといても、轟沈するさ」


(確かにその通りなら、もう少ししたら潜航してからアクティブ・ソナーを打ってみよう。)と思っていると、「「――敵潜水艦、浮上!」」と広域電探長《レーダー手》であり俺の実姉である沖野おきの紅里あかりと海中電探長《ソナー手》であり沖野おきの紅里あかり沖野おきの海斗かいとの実妹である沖野おきの聖奈せいながほぼ同時に声を上げた。


「どうするの?」


「後部3番主砲塔、発射準備!」

「りょ、了解」


 艦尾にある50口径51センチ連装砲塔1基2門がゆっくりと旋回する中、バーベット内では揚弾中の艦対艦通常砲弾2発が装填台に乗せられて5トン程ある装薬と一緒に機力で砲身内に装填された。


 そして、最大射程50,000メートルをはるかに越えるロマンの塊と呼べる砲塔がゆっくりと浮上してきた敵潜水艦を射程内に定めた。


「3番砲塔、準備完了!」


「右舷バラスト・タンクに注水! 反動制御装置、作動開始」


 砲術長の水原みずはらなぎさと副艦長の那珂野なかの史果あやかの完璧な連携で速やかに撃てる状態となった。


「――目標、敵潜水艦」


仰角ぎょうかく15度、方位2-1-6」


「3番砲塔、準備良し!」


「――ッ、撃て!」


 沖野の号令と共に、右斜め前に座っていた水原砲術長が射撃と書かれたケースの下にある緑色のボタンを右親指で押し込んだ。


 3番砲塔の砲身から発射された艦対艦通常砲弾2発が、浮上し終えたアレストニア王国海軍所属のA-50型魔導巡洋潜水艦の4番艦A-53に命中した。正確には、左舷スクリューシャフト結合部と潜望鏡や空気を取り込むためのシュノーケルがあるセイルと呼ばれる場所だ。


「全弾命中。 効力射、有効射。確認」


「次弾そのまま、装填後。再度発射」


「――全主砲塔、装填完了!」


「3番砲塔と同じ標的を狙え、確実に沈めろ」

「・・・準備良し!」


「ぅてぇ!」


 6発の砲弾が水柱や火柱などを、海面や敵の潜水艦の船体から出させた。


 モニターで外を映させると、敵の潜水艦が小規模から大規模な爆発を繰り返しながら沈んで行く最中さいちゅうだった。


「敵潜水艦、撃沈を確認。――ッ、待って・・・水面に人影!」


「恐らく敵の乗員だな・・・」

「どうする気?」


「“借り”を作る?それとも、ここで“あの世”に行かせるの?」


「・・・副長、国際救助旗を揚げろ。機関停止、使える物は何でも、惜しみなく使え」


 沖野は、重油によって身体が真っ黒になっている敵兵を見逃せなかった。それに、敵であっても同じ人間だ。


「了解」


 そうして、副艦長と水雷長以外の人手で甲板に上がり、沖野は「これから救助する! 大丈夫、俺たちは貴方達を救助するから!」と大声で敵兵に聴こえる様に叫んだ。

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