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爆誕 エロ狼

ビデオ通話で写っていた例の廃校にきた俺と海斗は、教室棟の前でまだ害異形(ゲスト)の群れと戦っている絵里とアルを見つける。

俺は丸腰で奴らに勝てないことは経験積みだったので、あらかじめ校門の前で拾っておいた鉄パイプで近くの害異形(ゲスト)の後頭部に殴りかかった。


「オラッ !!・・・大丈夫か絵里!アル!」

「や、大和!?」


絵里は俺がここに来るとは思っていなかったのか少し嬉しそうに、それでいて不安そうな顔をした。

確かにここにいるメンツの中で俺は一番弱く、なんなら足でまといですらあるのだから絵里がそんな風に思うのも仕方ない。

正直なところ俺も一人でこの状況をどうにかできるなんて思っていなかった。だが今回は俺たち3人だけじゃなく神墜器使い(バベルホルダー)の海斗もありがたいことに付いてきてくれているのでとても心強い。

絵里もそんな海斗の存在に気づいたのか不思議そうな顔をしている。


「あ、あなた確か大和の友達の多田君だったかしら、なんでここに?」

「久しぶりって…言ってもほとんど話したこと無かったね俺ら。今回は大和の助っ人としてきているから安心していいよ。・・・・そんなことより、ゆっくり話している余裕はなさそうだ。来い残響を知る者(コン・アニマ)


軽い挨拶を済ました海斗は自身の神墜器(バベル)を展開し、未だに出現しつづける害異形(ゲスト)を迎撃し始めた。

絵里とアルはそんな海斗に一瞬驚いた顔を見せたが、自分たちも戦闘を再開した。

負けじと俺も応戦するが、彼らのように瞬殺できるほどの力を持ってないので、ヒット&アウェイで一体一ずつ引きつけて少しでも3人の負担を減らす。

ある程度害異形(ゲスト)たちを片付けた後、俺は絵里たちにずっと気になっていたことを聞いた。


「おいお前ら、そもそもなんでこんな場所で害異形(ゲスト)と戦ってるんだよ?」


その言葉を聞いて絵里は思い出したのか、憤慨したように話し出した。


「そうよ!元はと言えばあのジークとかいうふざけた男が、いきなり私たちの前に現れて関係ない男の子を人質に取ったのよ!」


それでホイホイこんな所までおびき寄せられて罠にハマったと……

絵里の性格から考えると、その男の子を見捨てるなんて絶対に無理だったんだろうな。

しかしこれはまずいな、本当に人質がいるのであればこのまま撤退って感じは無理そうだ。


「大和!多分あいつはグラウンドで待っているはずよ。私はその子を助けに行くわ!あんた達はどうするの?」

「私は行くよ。関係ない子どもを巻き込んじゃたし」


どうやらうちの女性陣は戦いに行くき満々のようだ。

もともと二人を助けにきた俺だが、子どもが巻き込まれたとなっては見過ごせない。


やばい奴だとは思ったてたが、まさかここまでジークの野郎がクズだったとはな。

こうなった以上もう容赦する必要はない。俺は三人に向きなおり今後の行動方針を伝える。


「よし!じゃーその子を助けるついでに、ジークのクソ野郎の顔面に一発ぶち込みに行くか!」

「ええ!そうこなくっちゃね!!」


絵里は俺の言葉に満足そうにし、アルも嬉しそうにいつも見たく飛びついてきた。

俺はもう一人この場にいる親友に向き直り彼の答えを待った。


「はぁー、お前が行く時点で俺の答えも決まってるようなもんだよ。・・・頼むから無理だけはしないでくれよ」



疲れたように海斗はため息交じりに言ってきた。なんやかんや言っても彼も面倒見のいい性格だから俺たちが心配なのだろう。

そんな学校生活でもこいう場面でも迷惑ばかりかけている親友に俺は心から感謝した。


「ありがとな、海斗」

「や、やめろ。気持ち悪い」


あまり俺に褒められ慣れてない彼は恥ずかしそうに顔を背けた。


ーー●○●ーー

錆びた朝礼台の上にジークが本を読みながら座っていた。彼は俺たちがくるのを知っていたのか落ち着いた声音で話し出す。


「やー大和くん、早かったね」


まるで旧知の友かのように俺に接してくる彼に問いただす。


「ジーク!子どもはどこだ!」

「子ども?・・ああ!忘れてた子どもね!」


一瞬バカにしているのかと思ったが、表情から察するに本気で忘れていたようだ。

混乱する俺たちにジークは楽しそうに語る。


「実はあの子ども僕の仲間でね、人質の役だけ手伝ってもらったんだよ。・・いやー中々の名演技で僕も驚いたよ」

「は、はぁー?」


絵里は信じられないといった様子で先程よりも強く憤慨していた。

今にもジークに飛びかかりそうだったので俺は彼女を手で制して再びじーくに問う。


「なんの為にそんなことを?」

「ふふっ、それはね。君たちをおびき寄せるため、そして君たちを逃さないためさ」


その瞬間グラウンドの四方八方から無数の害異形(ゲスト)達が出てきた。

あマリの光景に俺たちは絶句する。

罠とは理解していたが、正直ここまでエゲツない物を用意されていたのは予想外だった。


「さっき話した僕の仲間はね、少し変わった特技を持っていて、こんな風に害異形(ゲスト)を使役することができるんだよ」


どうやら何かしらの力で害異形(ゲスト)を操っているようだ。しかし、そんなことが分かってもこの量を相手にするのは相当きついものがある。

そんな事を思っていた俺とは違い、海斗はディスクの神墜器(バベル)害異形(ゲスト)の殲滅を始めた


「・・・そういえば、いたね君。てっきり特捜の君たちはこの事を無視するもんだと思ってたよ」

「ああ、人手不足の今、お前ごときにかまってられないと上の連中は判断したらしいぜ」

「・・・へー随分と舐められたもんだなー僕も。じゃー少し本気出しちゃおっかなー。来い拷問慚愧(カクテル・パーティー)


例の両刃剣の神墜器(バベル)を手に取りジークは4体の鬼を出した。

不敵な笑みを浮かべながら、彼は自身の勝利を確信しているようだった。

確かに明らかに俺たちが不利な状況だが、まだ勝機はある。

道すがら海斗が言っていたのだが、ジークの神墜器(バベル)は本体を倒してしまえば、能力で生み出した鬼は自動的に消えるらしい。だからまずジークを迅速に倒すのが一番効率的なのだとか。


「海斗、害異形(ゲスト)達の相手頼めるか?俺たちはジークをなんとか倒すから」

「それ俺の方が負担でかくないか?・・・まぁいいけど、ちゃんと倒せよ」

「ああ、任せろ」


どう考えても一人でさばける量ではないはずなんだが、海斗は悪態をつくだけでその仕事を引き受けてしまう。もしかして海斗ってめちゃくちゃ強いんじゃね?


「絵里、アル。お前らは鬼の相手をしてくれないか?その間に俺がジークを倒す」

「ちょっと待って大和!あんた一人で大丈夫なの!?」

「そうだよ。一体ずつ確実に倒してこ」


二人とも俺の意見に賛同せず安全策を取ろうと提案してくるが、俺だって別になんの策もなくこんな事を言っているわけではない。


「頼む信じてくれないか?」

「・・・・・・わかったわ。でもいい、もし死ぬようなことがあれば、その時は私があんたの事を喰い殺すから」

「ヤマト、無理したらダメだよ」


しぶしぶといった感じで二人が俺の案に乗ってくれた。

そんな俺たちの作戦が聞こえているのかいないのかわからないが、ジークはまだ余裕の笑みを見せている。

見てろよ今すぐその(つら)後悔で歪ませてやるよ。


「そろそろ初めてもいいかな?」

「ああ、わざわざ負けるのに待ってもらって悪いな」

「ふふっ、君は本当に面白いね。ただの人間の君にどこからその自信が湧いてくるのかな?・・それじゃ遠慮なく行かしてもらうね!」


その言葉を皮切りにジークの鬼たちと害異形(ゲスト)の群れが襲いかかってきた。

絵里とアルが鬼を二体ずつ相手にしているのを尻目に、俺はジークへと駆け出し彼に鉄パイプで殴りにかかる。


「オラッ!くたばりやがれクソ野郎」

「友達にたいしてその言い様はないんじゃない?」

「誰がお前なんかとダチにになるかよ!」


俺の猛攻を軽々しく避けていくジークだが、それとは逆に彼が回避行動を取るたびに周りの鬼たちの動きが悪くなっている。


「おいおい、ご自慢の鬼たちが美少女二人にすげぇーボコられてんぞ」

「・・・なんでだろうね、酔ってるんじゃないかな?」


まだ余裕の笑みを崩さない彼だが額には薄っすらと汗がにじみ出ていた。

やはり読み通り、鬼たちは自立して動いているわけじゃなくラジコンのようにジークが操作しているようだ。

だからジークも鬼たちを操作している間は、回避や攻撃といった集中力が必要な行動を取ってしまうと、一気に鬼たちの動きの精度が悪くってしまう。


「最初のウザいくらいの余裕はどうした?さっきから全然目が笑ってねぇぞ」

「ははっ、これはちょっと手厳しいね」


そんなジークに俺は容赦無く攻撃を繰り出し続け、その間に絵里たちは鬼を一体ずつ倒していった。

流石のジークも焦り出したのか手元の両刃剣で俺に反撃をしてきた。


「あっぶね!・・・へー驚いたその剣、飾りじゃなかったんだな」

「いつもはこんな風に使わないよ、ただ馬鹿見たいに目の前で鉄の棒を振り回している雑魚(むし)がいれば誰でもうっとしいと思うものだろ?」


どうやら柄にもなく彼はピキッているようだ。

こっちとしては注意を引けるならなんでもいいので好都合と言えるだろう。

とはいえ、刃物を持った相手とまともに戦いたくないので、地面に落ちてある石や砂を拾いジークに投げつけて攻撃することにした。

そんな俺の行動に完全にキレたのか、彼が初めて笑顔を崩し襲いかかってきた


「・・・君は猿か何かなのかい?あまり僕をなめていると後悔するよ」

「そいつはどうかな?お前が俺にかまけている間に二人が残りの鬼も倒してしまいそうだぜ!」


長い間俺にかまい続けたせいか、鬼たちは完全に木偶の坊とかしていた。

そんな鬼たちは二人の相手にはならず、絵里は見事な脚さばきで、アルはパワーだけのゴリ押しで二体の鬼にトドメを刺そうとしていた。

だが、二人のトドメの攻撃は当たる前に対象の鬼が霧のように消失したせいで空を切る。

なんだ?急に消えたぞ。倒したってことでいいのか?

その光景に俺は思わず困惑してしまったが、絵里の必死な警告に一気に現実に戻される。


「大和!よけて!!」


俺は何から避ければいいかわからず、とりあえずその場から動こうとしたが、なぜか体が胸の位置で固定していて動くことができなかった。

その原因を確かめるため自分の胸を見下ろすと、そこには通常ありえないものが自分の胸から生えていた。


「・・・なんだ・・これ」


俺の胸にはノコギリのような刃物が背中から貫通していた。

後ろを見て誰がやったのか確認したところ、例の細長いジークの鬼が俺を無機質な目で見ていた。

自分の状況を認識したせいか、喉から大量の血が思い出したように溢れ出し呼吸ができなくなっていく。

鬼は俺から刃を抜き取りゴミのように投げ捨てジークの元へと歩いていく。


「だから言っただろ。後悔するって」


ジークが嬉しそうに言うが、今の俺には反論する力も出てこなかった。

そんな俺に二人が駆け寄ってくる。


「・・・う、嘘。やだよ大和・・・なんでこんな」

「・・・・ヤ、ヤマト・・ダメ血が止まらない」


ーー●○●ーー


彼女たちの悲痛な声が聞こえるが、体の感覚が消えていき意識も暗闇へと吸い込まれていくのがわかった。


くそ、何が俺が守るだ、何一つ守れてねぇじゃねーか。ただの人間が粋がった結果がこんなザマじゃ笑い話にもならねぇ。

親友を巻き込み、守る対象に守られて、挙げ句の果てには絵里を泣かせてしまっている。俺にまだ余力があったら自分で自分を殴っていたことだろう


俺は目の前で涙を流す幼馴染を見つめた。心臓を貫かれたはずなのに彼女を見ると胸が高鳴り血がざわめくのを感じる。だが俺の体は彼女を抱きしめる程の力も残っておらず。ただ心の中で最後の未練を思うことしかできなかった。

・・・・・せめて絵里のおっぱい揉みたかったな


『なら、揉めばいいだろ』


死の間際に幻聴を聞いたのかそんな無遠慮な言葉が頭に響く。


『幻聴なんかじゃねーよ。俺様は15年間ずっとお前に話しかけていたぞ』


だ、誰なんだ


『今はそんなことはどうでもいいじゃねーか。それともお前はこのまま何もせず死ぬか?』


そんなのまっぴらごめんだ!俺はまだ何もできてねぇっていうのに、これじゃただの犬死にだ!


『ははっ、死に損ないにしては元気じゃねーか。いいぜお前にチャンスをやるよ』


チャンス?なんだそれ?


『今からお前に俺様の力の一部をやる。それに耐えることができたらお前は生きることができるだろう。だが俺様の力を得てしまえばお前はこれから死ぬより辛い道が待っているが。お前にはその覚悟があるか?』


全く言ってる事がわからないし、俺に覚悟なんて大層なもんねぇよ!

ただ俺はもう一度好きな女の乳をこの手で揉みたいだけだ!


『ガハハハハハハ!いいね気に入った。オスはやっぱそうじゃないとな!・・・よし、そうと決まったら大和、俺様の名前を呼べ。そうすればお前は神をも食い殺す力を手に入れる!』


ったく、どいつもこいつも勝手な事言いやがって。俺は神だとかそんな物どうでもいいんだよ。

ただ今は目の敵を倒して、絵里の胸を揉むこと以外考えられないだからな!


ーー●○●ーー


「さぁー王子様は死んじゃったけど、残りのプリンセスはどうするのかい?」

「・・・殺す。あんたの肉片ひとつこの世に残さないくらい徹底的に殺す。」


・・よくも大和を。私の一番大切な人を殺した罪は死だけじゃたりない!

こいつ存在がこの世になくなるように、関わった者全てを壊してやる。


「おおー怖いね。でも君に僕が殺せるかな?まだ僕は力の半分も出していないよ」

「だから?そんなのは殺せば関係ないわ」


今すぐその薄汚い顔を潰しやる。

・・・見ててね大和。私が必ず仇を打つから。


私は無残に死んだ大和の方を見ると、彼の体が赤く発光し、心なしか少し脈動しているのがわかった。

や、大和まさかまだ生きているの?

ジーク(あいつ)もこの現象に動揺していて、様子を伺っているようだ。

そうしている間にも大和の赤い光は勢いを増してその輝きが頂点になった時、大和が掠れた声で何かを口にした。


「・・・・・・・・神滅の黒狼(アビス・バイツ)・・」


その瞬間。大和を中心に立っていられなくなるほどの暴風が吹いた。私は大和に何が起こったか確認するためにそっちを見ると。彼の腰のあたりから長く漆黒の獣の尾のようなものと、頭から犬の耳のようなものが生えてきていた。そしてあんなに酷かった胸の傷も跡形もなく治り何事もなかったかのように大和は目を覚ました。

その異様な光景をただ呆然と眺めてい私に大和は言う。


「絵里、おっぱい揉ましてくれ」













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