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ランジェリーショップの前通るときちょっと気まずくない?

家に一時的に帰ってきている親父の存在を、すっかり忘れていた俺はなんとか親父の説得に成功した。

正直あのクソ真面目な親父が、年頃の男女が一つ屋根の下で暮らすことを許可するとは思っていなかった。

どいう心境の変化なのだろうか?・・まぁーこれでアルと見張り役の絵里が家に住めるようになったことには違いない。

そんなこんなで、今俺は二人の生活品の買い出しに地元のEYON(イヨン)にまで付いてきていた。

部屋着や食器類と順調に買い物を進めていった俺たちだが、ある店に俺も例のごとく付いて行こうとすると、絵里が赤らめた顔で言ってきた。


「あ、あんたここにも付いてくる気?」

「ああ、もちろんだ。お前たちの生活必需品は獲狼家が負担しているのだからな。俺は家の長男としてお前たちがムダ遣いしてないか見張っておく義務がある。」

「だ、だからと言ってあんた……ここランジェリーショップよ!?」

「だからどうした!!」


俺の予想外な強い反抗態度に、絵里は思わず後ずさる。


「そ、そんなに見たいの?」

「当たり前だ!なんのために俺がわざわざ女の買い物に付き合っていたと思う?そう!この時のためだ!今日ここで絵里とアルの下着姿をおがむまでは、絶対帰らないからな!」


俺の褒められたもんじゃない決意表明に絵里は眉をひそめた


「……大和あんた、そこまでこじらせてたのね」


少しかわいそうな物を見る目で、俺の幼馴染は見てきた。

いや、誰だって気になる女の子のエッチな姿はきになるものだろ!

そんなふうに思っていると、俺の左肩に顔を乗せてきたアルが絵里とは逆に俺を誘ってくる。


「ヤマト、はいろ」

「こ、こらアル。あんたなに普通に一緒に入ろうとしてんのよ!?」


慌てて止める絵里だがアルの引こうとしない


「だって、今までの物も全部ヤマトに決めてもらったし、ここでも決めて欲しくて…」

「だからと言ってあんたは大和に下着姿見られてもいいの?」

「だって私もうヤマトに裸見せてるし」

「あぁーあんたは確かに……そうだったわね!」


なぜか、絵里は俺に八つ当たりのタイキックをお見舞いしてきた。


「痛ってぇーな!・・・あーあ、そんなことしていいのかなー?お前が使うお金は俺が持ってるっていうのに。そんな態度のままだとお前だけノーブラノーパン生活にしてやってもいいんだぜ!」


俺が本当に下衆な最終手段をとると絵里は。


「くっ卑怯な。・・・・ていうか別にこんな脅しみたいなことしなくても、心の準備さえあればいつでも見せてあげるのに…」


一瞬信じられないことを言った絵里だが、残念ながら俺はその言葉の本意を彼女に問いただせる程の甲斐性は持ち合わせていなかった。すいませんヘタレで!

そんな思わぬカウンターパンチを食らって、真っ赤にした俺の耳に女性店員の声が届く。


「お取り込み中のところ大変恐縮なのですが、当店は男性客の入店をかたく禁じております。ですので、いくら彼氏さんとはいえ、外でお待ちになって頂く形になってもらうのですがご協力願えますか?」

「……………あっ、全然大丈夫っす」


俺は店員さんの注意を受け、つい素で返してしまった。


俺はそんなつらすぎる現実に目の前が真っ暗になってしまっい、あまりのショックで体に力が入らなくなった俺は、近くのベンチに腰を落とした。


「じ、じゃー行ってくるね大和」

「……おう、これお金」


全てがどうでもよくなった俺は財布を絵里に渡した。


「えらく素直ね」

「はは、何言ってるんだよ。さっきまでのはいつも見たいな冗談じゃねぇーか。いいから値段は気にせず好きなの買ってこい」


あまりの俺のテンションの温度さに二人とも驚いていたが、すぐ店の奥へと歩いていった。

俺は無念の思いで心の中で叫ぶ。


・・・・・クッッソォォォォォォォォオーー見たかったのにーーーーーーー!!!!!


ーー●○●ーー


すごい自分本位で最低なことで勝手に落ち込んでいることは、流石に自覚はある。そのため、俺は無事に下着を買えた二人にお詫び代わりにボーリングに誘った。



ボーリング場についた俺たちは早速シューズを借りてフロアに向かった。

ここはよくあるボーリングチェーン店で、各レーンでは老若男女に関係なく楽しそうボウリングをしていた。


「ヤマト、ここ何するとこ?」

「そうかアルは知らないよな、簡単に言うと重い玉を転がして白い棒を倒す遊びをするとこだ。ほら、あんな感じに」


ちょうど今投げるところだった白毛の爺さんにアルの目を向けさせた。爺さんは見事なカーブショットでストライクをきめた。・・・めっちゃドヤ顔するやん。


「た、たのしそう!」

「だろ、んじゃー早速はじめようぜ!ちなみに負けた奴は一人で今日の荷物全部を持って帰ってもらうからな!」

「いいわねそれ。やっぱり罰ゲームがないと盛り上がらないし、その勝負乗ったわ!」


そんな俺の突然な罰ゲーム発言に当然のように絵里が乗る。


「そうこなくっちゃな、アルは」

「ヤマト、一人でこれ全部モテるの?」


いちおう確認をとった俺に、アルが天然な煽りをしてきた。


「言ってくれるじゃねぇーか!上等だよ。お前ら二人ともダブルスコアで格の差ってやつを見せてやるよ!!」




と、息巻いていた俺だったが


「・・あ、ありえない。こんなの何かの間違いだ」

「えーと、私が246点で、アルが224点。・・で大和が、ププッ196点!ボロ負けじゃない!」

「う、絵里に負けた」


なぜだ!?おかしい!100歩譲って絵里に負けるのは癪に障るがまだわかる。しかしなんで初心者のアルにも大敗しているんだ!?

だいたいこいつらおかしいんだ。絵里はすごい正確に投げるし、アルにいたってはガーターゾーンに入ってもボールの風圧で最低でも7本は倒れていた。どういうことやねん。


「ルールはルールよ大和。この荷物よろしくねー」

「ヤマト、ガンバ」

「く、屈辱だこんなの」


くそっ!女の子にこんな負け方して、もう僕お婿にいけないっ!

そんなことを思いながら俺は重い荷物を持って彼女らを追いかけた。


ーー●○●ーー


例のアルのザリガニ釣りスポットの田んぼ道のところまで帰ってきたおれたちは、道の真ん中に立つ背の高い外国人を見つける。そいつも俺たちの視線に気づいたのか楽しそうにこちらを見つめ、相変わらず軽薄な態度で話は始めた。


「こんにちは大和くん。昨日ぶりだね!今日は遊びに行ってたのかい?」

「まぁー健全な中学生なら土曜ぐらい友達と遊んでるもんだろ」

「そう言われてみればそうだね。僕はあまり同年代の子と遊んだ経験がなくてね。羨ましい限りだよ」


昨日話した時よりも語調にプレッシャーを感じる。やはりアルの事を隠していたのが不味かったのだろうか?


「大和、誰あの人?友達…って感じじゃないわね」

「…しりあい?」


絵里はともかく、アルもジークについて何も知らないようだ。いよいよ胡散臭くなってきたぞ。もともとだけど。


「いやいや、僕は大和くんの友達だよ。・・・でもそんな友達に大和くんはどうやら嘘を付いていたみたいだけどね」


ジークの雰囲気が一気に冷たくなる。明らかに敵意を剥けてきているが、まだ彼が危害を加えてくると判断するには早い。


「アルのことはすまなかった。お前がなんでアルを探しているのか教えてくれないものだから、俺も少し警戒してたんだよ。・・・・改めてなんで探していたのか教えてくれないか?」

「教えたら、その子引き渡してくれるかい?」

「……ああ」


俺の言葉を聞いた彼が、嬉々として話し出した。


「よし!じゃー簡単に言うよ!僕はそこのトカゲ女を駆除、もしくは有効に利用させてもらうために探していたんだ」


???

トカゲ女?もしかしてアルのことか?

そんなことよりも今こいつ()()とか言ってなかったか?誰を?まさかアルをか?

何かの聞き間違いや勘違いの可能性もあるため、俺は最後にも一度だけ聞いた。


「・・・・駆除って、まさかとは思うけどアルを殺すってことか?」

「え、うんそうだよ。ごめん伝わりづらかったかな…」


なぜか申し訳無そうに謝っているが、彼から罪悪感なんてものは一切感じられない。

あまりにも現実離れした要求に悪い冗談かそれとも悪徳なドッキリかと疑ってみたが、仮にそうだったとしても彼にアルを渡すのは、どう考えても駄目なことぐらい、気が動転しそうな今の俺でも分かった。


「…悪いなジーク、交渉決裂ってやつだ…」


俺の言葉に真顔になった彼は、今度は本当に残念そうに言った。


「僕は本当に君のことを気に入っているから、できれば殺したくないんだよね。・・大和くん最後の警告だよ、今すぐその黒髪の子と一緒に帰った方がいい」


思ったより優しのか、ターゲット以外はどうやら見逃してくれるらしい。


「ありがたいけど、今日からアル(こいつ)も俺の家に一緒に住むことになってんだ。だからもし帰るなら、その時は3人でだ…」


そう虚勢を張ってみたのはいいが、なぜか体をつたう冷や汗が止まらない。打って変わって、そんな俺を面白そうに見るジークは背中からノコギリのような両刃剣を取り出して言った。


「来い拷問慚愧(カクテル・パーティー)。申し訳ないけどこれ使わしてもらうね」


そう言うと彼は拷問慚愧(カクテル・パーティー)と呼ばれた両刃剣を大きく一回転させた。すると田んぼの中から、3メートルはあるツノの生えた鬼のような怪物が4体出てきた。いきなりのことで頭が理解出来なかったが。そいつらの8つの目に見られた時、そこで俺は思い出したかのように危機感を感じた。


「じゃーそろそろ()ろっか、大和くん。」


彼は心底楽しそうに言った。














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