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ラッキースケべは義務教育です。

金髪不審者のジークに時間を取られたため、俺は少し急いで今朝彼女と出会った道に向かった。

そこには膝を抱えるようにうずくまっているアルがいた。アルはこちらに気づいたのか死にそうな声で言った。


「ヤマトおそい。……が、餓死するところだった・・・」

「…いや、燃費悪すぎだろいくら何でも」


そんな腹ペコ巨女様は、空腹で力がでないのか俺にしがみついてきた。彼女の体はその体の大きさと同じぐらい胸も豊満で意外と筋肉質だった。俺はそんな魅惑な感触を楽しんでいるとあることに気づく。


「アル、お前いつからここで待ってた?」

「?ヤマトと別れてからずっとだよ」


どうりでこんなに体が冷たいわけだ。俺は申し訳なくなって自分の着ていたコートを彼女に羽織らせる。


そもそも女の子と待ち合わせするのに、雰囲気もクソもない寒い田んぼのど真ん中っていう時点で俺色々おわってんな。こういう気遣いをできないからモテないんだろうな。

などと自己分析している場合じゃねーな。


「本当にごめんアル。寒い中何時間もこんな場所で待たして…」

「なんでヤマトが謝る?ヤマトは私のためにご飯を持ってきてくれたんでしょ?」


心底不思議そうな顔をするアル。

俺はそんな純粋すぎる彼女に少し危うさを感じてしまう。はたして給食の残りを渡した後、彼女を野放しにしていいものだろうか?かといって警察に保護してもらうのも後々ややこしい事になってしまいそうだ。

よし!ここは一旦。


「アル。(うち)くるか?」



    ーー●○●ーー


「おじゃまする」


まさか俺が、今日出会ったばかりの女の子を自分の家に誘う日が来るなんて思いも知らなかった。

我ながら大胆な決断をしたものだ。

アルは不思議そうに家の様子を見ており、部屋の中が気になったのか土足のまま上がろうとしていた。


「っておーい。靴脱げ!」

「なんで?」


お金が云々とか言ってた時から薄々気づいていたが、アルはよっぽど常識が欠如している様だ。

しかし、それとは逆に日本語を上手に話しているが、どういうことなのだろうか?

まぁーとりあえず今は、彼女に暖を取らせることが最優先だ。


「アル、シャワー使って……てか知ルわけねーか」

「しゃわー?」


その後、シャワーの使い方を意外にもすんなり覚えた彼女は、今おそらく人生初のシャワー体験をしている。

最初こそ女の子が家に来ると思ってドギマギしていた俺だが、いざアルを家に入れてみたら、女の子というより大型犬を親に内緒で飼おうとしている時の感覚に似ている気がする。そんな事したことないが。


ともあれ、今後の方針をきめないといけない。彼女が何者でどこから来たのか、ジークと名乗った青年との関係性について、そして何よりそれらを知って俺はどうすべきなのか。

アルには利用させてもらう形になって申し訳ないが、今は少しでも絵里に起こったことについて情報がしりたい。

そんなことを考えていると、後ろからその本人の声がした。


「ヤマト、シャワー終わったよ」


そいった彼女の姿は()()だった。190cm近くある高身長にEカップ相当の胸、体はとても筋肉質で腹筋も割れおり、しかしそこには女性特有の扇情的な魅力も兼ね備えていた。肩口まである彼女の綺麗な赤髪は水に濡れており、今もしきりに水滴を床に落としている。

あまりにも人間ばなれした美しさに一瞬頭が真っ白になりかけたが、ギリギリのところで踏み止まり俺は大声で叫んだ。


「ありがとうございまっ!じゃなくて、服をきろーーーー!!」




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