百合の花に生まれて
ちょっとお遊び。
だけど、本気で書きました♪
私は百合の花……。
それ以外に名前はありません。
隣に芽生えた、同じ百合の花……。
私より先に芽生えた、お姉さま。
そんなお姉さまに、焦がれる私……。
背も私よりも大きくて……奇麗なお姉さま。
もう、つぼみも付けていて……。
私は、お姉さまに問いかける。
「私もお姉さまのように、なれるかしら?」
お姉さまは、優しく私に言う。
「貴女の方が、きっと立派になるわよ?」
その一言でも、微笑みを浮かべるお姉さまの姿が焼き付く。
「そんな……。私のあこがれはお姉さんなんです!」
私は照れながら、お姉さまに反論する。
そんな私に、お姉さまは言う。
「そうね……まだつぼみも小さいけど……。
そのうち大きくなるわよ?」
「本当に?」
「私の言うことが信じられない?」
お姉さまは、優しい笑顔で、意地悪な質問をしてくる。
「お姉さまが、そう言うのであれば……」
私は、おずおずと答える。
「うふふ。可愛いわね」
「え!?」
「私、貴女のそういうところが好きよ?」
なんだか、とても恥ずかしくなる私……。
「すっ、好き……ですか?」
「そうよ? 好きよ?」
優しく、微笑むお姉さま。
そして……。
お姉さまのつぼみは、大きくなり……。
花を咲かせた。
やっぱり、お姉さまきれい……。
私の花は、まだ先になりそう。
「お姉さま……きれいです…。」
「ありがとう」
微笑んで、お姉さまが答える。
花を咲かせたから……私には、お姉さまが輝いて見えた。
「貴女のつぼみも、もう少しね」
「え?」
「ほら、つぼみの先が、色づいてきてるじゃない?」
私のつぼみを見直す。
本当に、色づいている。
「うふふ。貴女がどんな花を咲かせるか、楽しみだわ」
「……期待しないでください……。」
私は、照れて伏せる。
「……やっぱり、可愛らしいわ。そういうところ、好きよ?」
「か、からかわないでください!」
「その姿も可愛らしいわ」
「!?」
私は何も言い返せなくなった。
そして……。
私のつぼみも大きくなった、雨の日。
「そろそろ、咲くころね。楽しみだわ」
「……とても恥ずかしいです」
私のつぼみの中……どんな花が眠ってるんだろう?
期待と不安に、押しつぶされそうになる。
ひた、ひたと、私のつぼみを、雨が刺激する。
「ひゃっ!?」
「力を抜いて? 雨水に身をゆだねて?」
「こっ……こうですか?」
「うん……いい感じよ?」
私は、雨水の刺激に耐えながら、ゆっくりと身をゆだねる。
「その調子よ……」
「ひっ、ひやぁ……。」
「我慢して? もう少しよ?」
雨水の刺激に耐え切れず……。
私の花は、ぱあっと開いた。
「うん……きれいよ……。」
お姉さまは、澄み切った声で……。
そして、優しく微笑んで、言った。
---完---
いかがでしょうか?
ちょっとした、言葉遊びです♪
お楽しみいただけたなら、うれしいです。