最後は王様
睡眠不足すぎてちょっと頭が…おかしなところがあったらすみませんm(__)m
「私は、薄々気付いておりましたー…息子が姫様を思っている事」
「「!!」」
「レオン殿下とのご縁が無くなれば尋ねてみる事も出来たかもしれませんがー…ただ見ているだけの淡い想いならばわざわざ暴く事もない、そのうち忘れられるだろうと、姫様が拐われた時さえ問い詰める事もしなかったーーそれがこんな事態を招いた。監督不行き届きと言われても仕方ありません」
「ミリアム様…」
ーーそれは単に息子を信じていただけ、ですよね?それに….
「黒太子の為の夜会の時…」
「は、い?」
「あの時、私があの場を離れるきっかけを、作って下さいましたよね?」
この人が私の体調が悪そうだ、と声をかけてくれなかったら抜け出すのはもっと難しかったろう。あの場にいたのは国王と黒太子と宰相以外、私達だけだったのだから。
結果的に抜け出せたとしても、もっと時間も手間もかかったに違いない。
「姫様がお困りの事は、わかっておりましたから…実際お顔の色も優れませんでしたし…」
「あの時はありがとうございました。ですがー…」
忠誠を捧げる相手は私ではない筈だ。
そう言おうとしたが、
「ーセイラ!」
王妃様の鋭い声が刺さり、反射的に顔をあげると王妃様が険しい顔を横に振った。
ーいや、だってなんで第1王子と第2王妃が悪役令嬢に忠誠誓ってるんですかおかしいでしょう?!
そう思ったのだがー…
王妃様の険しい顔は揺るがない。
ーー次期王妃として受けろということか?
そう思って王妃様を見返すと今度はこくり、と頷かれた。
ーマジですか?
ーーいや、私まだいち伯爵令嬢なんですが…
とか
ーさんざんやらかしといて言ったらダメ
ですよね?
やっぱり….
身から出た錆。
うん。
はい、わかりました。
「では手伝っていただきます。ーー早死にもヘマして敵に捕まる事も卑屈に縮こまって生きる事も許しませんーよろしいですね?」
「「はっ!」」
いや、だから私は王族じゃないんです!臣下の礼はやめて下さい!
何とも言えない苦々しさが込み上げるなか、嬉しそうな王妃様の声が被る。
「嬉しいわ!漸く私の娘になってくれるのね!」
声だけじゃなくぎゅっと抱きしめられる。
え、えーと?王妃様、さっきまでと様子が。
まあ、人のことは言えないのだが。
「お姉様?セイラは私の娘ですわよ?」
今まで黙っていた母がため息まじりに言う。
「わかってるわよ!実の母親のあなたをないがしろにしたりしないわ。でも私がずっと娘を欲しがってたってこと、あなたは知ってるでしょう?」
「ーー親子揃って、セイラを狙ってたのは知ってますけどね…」
ー親子揃って??目を白黒させている私に実の母が問いかける。
「ねぇ?セイラ?貴女は本当にこの結婚に納得しているの?」
「ーーはい。そして信頼してもいます。 一見どんなに強引に見えても、レオン様は最終的には私が嫌がる事などなさらないと」
「ーそう。ならいいわ。でも、実家にもちゃんと帰って来るのよ?でないとエドワードも寂しがるわ」
「はい。もちろんです」
「ーーさて!それじゃあこれから忙しくなるわよ!何しろ結婚式は三日三晩続く事になるんですからね!」
ーーえ。そんな話聞いてない…
「貴女が来るまで話していたことなのよ。立太子のお披露目を兼ねるなら1日だけの披露宴では足りないわ。結婚式は勿論1日だけだけど、王太子夫妻のお披露目の夜会は三夜続けてやる事にしたの」
ま、まじですか…
「招待リストも改めて作成する必要があるわ。トラメキアはじめこの5つの国は当然外す事になるけれどー…この後の対処はどうすべきだと思う?」
「この6つの国以外と連盟を結べば良いと思います」
「「連盟…?」」王妃とレオンの声が重なる。
「どういう事だね?セイラ」
「この6つの国は確かに敵にまわすと厄介な大国ばかり。だからこそ周辺諸国も迎合している。ですが、国内だけで全ては賄えないはずです」
食料にしろ武器にしろー…何かしら周辺諸国との取引は必要不可欠な筈だ。
「ですから、この6か国以外の国にこの連判状をみせて"この国々は表向き友好関係を結んでおきながらこんな卑怯な真似をして我が国を襲った。貴国にもいつ襲いかかるかわからない。だから、この連判状にある国以外で連盟を作り備えてはどうか?こういった卑怯な真似を行わない、万が一被害に遭った時は助け、その非道を行った国を皆で協力して倒しその国の復興を皆で助け合おうという連盟を作るのだ"とやってはどうでしょう?そうして連盟に加入してない国ーーとりわけ今回の事に関して黒幕である人物との取引は制限または見合わせる、などの圧力を加えればよろしいかと。もちろん物が足りなくなって真っ先に割りを食うのはその領地の民ですからそちらにはまた別の配慮が必要でしょうが…」
領主を通さず直接民の方と取引しちゃうとか、ーいっそこの国に移民として受け入れちゃうとか?まあその辺はお父様に任せておけば問題ないだろう。
いかに大国といえど周辺諸国と足元にそっぽを向かれて孤立すれば少しは思い知るだろう。ーこの世界は自分達だけのものではないのだと。
………
そう、思ったのだがー…周りが奇妙に静かだ。
「マリウス貴方ー…セイラに外務官の教育まで施したの?」
「そんなわけないでしょう。セイラに施したのは淑女教育だけです。姉上がたも良くご存知でしょう」
王妃の問いにうんざりしたように父が息を吐いた。
ーーああ。確かに14歳の令嬢的には変か。これ前世の社会の知識だからなぁ…
なんて言うわけにも行かない私に黙々と成り行きを見守っていたカイルが
「是非次の生徒会長になってもらいたいところだけど、王太子妃となるとそうもいかないかな?」
と声をかける。
ーそれ以前に私に成績トップは取れません、現生徒会長。
「悪いがそれは諦めてもらおう、カイル」
…何勝手に(しかも腰に手をまわしながら)返事してるんですかレオン様。
ーーさて、ここまで完全にこの場に於いて空気扱いされている国王だがーー本人も自分を差し置いて進む話にぽかんと口を開けたり閉じたり金魚みたいになっている。
そんな国王に王妃が
「ーで?貴方はいつ次期王妃に謝罪して祝いを述べる気になるのかしら?」
でなければ、いつまでも輪の中に入ってこれませんよ、と促した。
が、国王は言葉が出ないらしい。人生においてここまで軽んじられた事がないからだろう、たぶん。
そんな国王に王妃が攻め方を変えた。
「貴方が女性でいうところのビッチ…いえ見境いなしの節操なし?でなくて 大変女性に情けをかけるのが好きな方なのはよぉくわかってたつもりですけど…流石に呆れましたわ」
と盛大な溜息と共に宣ったのだ。
修正はまた後日m(_ _)m




