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聖なる竜の祝福がもたらすもの

切りドコロがわからん…

 

「…そうか」

 満足げに頷いたドラゴンはでは具体的にどんな力がいい?とかどんな風にその力を行使したいか と訊いてきた。

 …子供の考える事とはいえー…

「こうバーン!てね、敵の力を跳ね返すの!」とか←ミラー強化

「意思あるドラゴンを思い通りにするんじゃなくて私の魔力で作ったドラゴンを思い通りに動かして助けてもらうようにして」とか←白竜具現化、使役

 良くそんな望みを叶えてくれたものである。ついでに言えば「その魔法の行使には膨大な魔力が必要だぞ。それを其方の小さき体でどうやって補う?」

「んー…敵のドラゴンから吸い取る!そして、そのまま吸い取ったエネルギーを私の作ったドラゴンさんに使って助けてもらうの!どう?」

「ーなるほど。面白い」

 なんてやりとりもあって実際その通りの力を授かったので実は私は通常なら倒れてもおかしくない魔法を行使していながらそれ程疲弊していない。あの白竜はただ敵を消しているんじゃなくてその実()()()()()を奪ってるのだ。そして(あるじ)である私に還元しているというーーまあ反則もいいとこである。



「聖竜は何故貴女に祝福を?」

「ドラゴンの心の内は私には測りかねますがーー…"面白い魂をしている"と言っておりました」

 それが単にレオン様たちみたいに"変わってて面白い"からなのか"前世の記憶持ち"だからなのかまではわからない。

「ですがー…その力と記憶は共に封印されていたのです。先程ー…ドラゴンの群れが町を襲っているという報告を聞くまでは」

 そう、私の中に封じられてた記憶は2つあったのだ。前世の記憶と、今世の幼い時の記憶。きっかけは多分前世の記憶が戻った時。ーあの時から、聖竜の封印は徐々に解け始めていたんだと思う。だから、使える魔力が増えて、強くなって、ついでに縛られるのを嫌った。

 ドラゴンは自由な生き物だから。

 城に半ば無理矢理留め置かれる状況がなんだか不快になった。


「聖竜は何故そんな事をしたのかしら?」

「私がまだ子供だったからです。あの年齢の子供では制御しきれず振り回されてしまう恐れがあるし出来たとしてもー…周りの大人…とくに時の為政者などに知れたらいい様に使われてしまう恐れがあるからと。私が自身でこの力がどうしても必要な状況に陥るか、またはそれをいい様に使う人間とそうでない人間の区別をつけ自身の身を守れるようになるまではー…とくに何才まで と期限は切られておりませんでしたがーー…」

「今回は前者にあたったわけね」

「そのようですわ」

「けれど、あなたはロッドに監禁されていたのでしょう?その時に覚醒しなかったのは何故?」

 王太后さまが言う。

「ロッド殿下に私を害す気持ちがなかったから、若しくはあったとしても覚醒を促す程の危険を感じなかったから だと思います。でなければわざわざ監禁中の人質に回復魔法をかけて衰弱を防ぎながら眠らせておく、なんて事はなさらなさいでしょうから」

 私の言葉に場がざわつき、

「ー…そう。ロッドは、そんな事を」

 私はそう呟く王妃様の横ーーこの場にいながら先程から一言も発しない方へと目をやる。その顔色は当然ながら悪い。息子がこんな事をしたのだから当然だが。

 ミリアム妃は目を伏せたまま周りを見ようとはしない。替わりにロッド殿下が驚いたように目を見開き「回復魔法のこと、気付いてたんだ…?」と呟いた。

「でなければレオン様に見つけていただくまで全く食事も取らずにいた私が元気なのはおかしいですから」済まして答える私にロッド殿下は泣き笑いのような表情(かお)を浮かべた。


「それでー…ロッドの処分なのだけど、貴女はどう考えていて?」

「…被害はどれほどのものだったのでしょう?」

「もちろん甚大よ。あれ程の襲撃を受けたにしては怪我人は少ない方で奇跡的に死人も出なかったとはいえー…警護にあたっていた騎士団にまで協力していた者がいた。その上その手引きをしたのが第1王子!各国の代表たる王族や貴族が一堂に会したあの場で!しかもその目的が貴女の拉致誘拐!王宮の広間は破壊されまくって惨憺たる有り様!どう始末をつけるか頭が痛いわ」殊更大仰に嘆いてはいるが実のところ言葉程に怒ってはいないのがみてとれる。


 ーだから、これは合図だ。


「ですがー…もう皆様広間の襲撃のことなどお忘れでは?」

 だってその後更に大きな衝撃がありましたもんね?

「まあそうね」

 ドラゴンの群れの襲撃という、国はじまって以来のーーていうかこの世界でも初めてだと思う。

 だから、あの後王宮に滞在して我が国に何らかの責任追及をしようとしていた人達がいたとしてもー…

「王宮に滞在していた方々にも早々に避難を促したところ皆様急いで帰路についた事だし」

 ですよね。この国にいたら危ないですもん。それに、ロッド殿下は私の拉致には絡んで、もとい首謀者だったとしてもドラゴンの襲撃には無関係だ。そしてこの襲撃の首謀者が黒太子だとすればむしろそこに絡んだのは。

「キャロル・ステインは何と言っているのです?」

「こちらも手段を選んでる段階ではないから直ぐに吐いてもらったわ。黒太子と密に連絡を取っていたそうよ」

 ーーやっぱり。彼女、悪役令嬢の素質のがあるんじゃ…いや、どっちにしろダメだけど。

「では王宮の損壊に関してはロッド殿下に負って頂くとしてーードラゴンの襲撃に関しては不問でよろしいのでは?」

「「?!」」ロッド殿下とミリアム妃他数名の驚愕には気付かないフリで私と王妃様は続ける。

「…貴女はそれでいいの?」

「…キャロルは私を複数の暴力的な男達の中に放り込んで乱暴させるつもりでした」

 !!!

「何だと?!」「何ですって?!」

 あ、レオン様や王妃様含めびっくりマークって事はこのことは話してないんですねロッド殿下……全く、もう。


「その連中とキャロルを拘束し私に手出し出来ないよう仕組んだのはロッド殿下です。キャロルがその連中を私にけしかけようとしたのは昨日のこと。ロッド殿下がいなければ私はレオン様が見つけて下さった時もう少し悲惨な状態だったかと」

「セイラ」

 咎めるような口調と自分が痛そうな表情でロッド殿下が止めに入る。

「黙っていたところでいずれ知れます。実害はなかったのですから構いません」

 レオン様が纏ってる雰囲気が物騒になってはいるけど。

 それがちょっと、いやかなり怖いけど。

「ロッド殿下のやった事は確かに許される事ではございません。ですが同時にそれ以上にドラゴン襲撃に関しては立派に防いだと見受けられます。ですから極刑の必要はございません」


「そうー…けれど実はもう一つ問題があるのよ。婚約式典に来ていた、いないに関わらず貴国のドラゴンを殲滅した人物は何者か との問い合わせが殺到していてね?」

「問い合わせしてきた方々のリストはありますか?」

「ワイエス」

 はっ、とかしこまってワイエスが記録を差し出す。それを見て私は微笑んだ。

「ーーまあ。これは皆様、なんとも白々しいというか盗人猛々しいと申しますかー…」

「どういうこと?セイラ?」

「まことの返信が必要なのはほんの一部だけですわ。ーー尤も正体を明かすつもりはありませんが」


「な、なんだと?」国王が目を剥くが王妃様にまた扇子で引っ叩かれて黙った。

「何の為に聖竜が記憶を封じていたか?先程お話致しましたでしょう、この力は人に知られるべきでないのです。ーー国王陛下ならわかっておられますよね?


 聖竜の祝福を受けし者の居る国は栄え、不興を買えば滅びる。

 それは真実ではございません。

 何故なら聖竜の祝福は一代限りのもの。

 その子孫に受け継がれるのでも、未来永劫約束されるものでもございません。私が死ねばそれまで。もしくは私が聖竜の祝福に叶う者でなくなれば命あるうちでもいつ失われてもおかしくないものー祝福が失われずともその力を過信し身に過ぎた魔力(ちから)を使い続ければ命を縮めるかその身を滅ぼす。

 なのに何故そんな伝承(いいつたえ)がされているのか?

 簡単です。

 祝福を受けた者に無理に力を使い続けさせればその身を削り死んでしまう。その力に頼りきっていた国は滅びる。頼りすぎるからそうなるのです。

 逆も然りです、別に祝福を受けた者が滅ぼすわけではございません。そうでしょう?人は放っておいても勝手に争うのです。他国やドラゴン、ほかに自分の不利益と感じたものとは争い、潰し合う。そんな人間に嫌気が差したなら放っておけばいい。どんなに家や人が焼かれようがドラゴンに襲撃されようが助けなければいい。ただ黙って見ていれば勝手に滅ぶのです。どちらも時の為政者が祝福を受けた者の扱いを間違えればそういう悲劇を起こすのですーー私も言われました。もし、私が意に沿わない力の行使を求められたり時の為政者に愛想を尽かす事があったなら、さっさとそんな世界を捨てて我が元へ来い、我が竜の巣はいつでもお前を歓迎すると」


明日も頑張ります(予定)。

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