#零零「The Judgment Day」
「侍戦記」が滞っていますが、プロットを組み立て直しているだけなので御心配無く。こちらは暇つぶし程度に考えています。
僕は空島、日本地域、静岡に住む普通の高校生、レイ・サトーだ。今日も面倒な事に学校へ行かなくてはならない。家から出て、学校のある学業ブロックへと向かうリニアに乗りながら、とんでもない事を思い出してしまった。
……数学の課題をやってない。と言うより、毎時間復習プリントを出すあのコンドウ先生(下の名前は忘れた)は頭がおかしいと思うんだ。しかも、やって来なかった生徒は提出するまで学校に残すというからタチが悪い。職権乱用じゃないか。そのエンドレスプリント制度を採用してるの、数学教師の中でもお前だけだからな。
でもやって無いのは事実。空き時間ができる度にコンタクト型デバイスに表示される「やる事リスト」にはその課題がきちんと記されていたし、自分でも「何かをやってない」感は感じていた。ああ何故僕は昨日、あんな古いコミックを読み漁ったなだろう。2000年代初期に完結したコミックだったが、かなり長期間に渡り連載しており、途中作者のペンネームや主人公の顔がコロコロ変わっていたコメディだ。……ああ、そんな事はどうでもいい。
僕はリニアの座席で課題を開く。空中に浮かんだAR(僕にしか見えない)のプリントの問題をスラスラと解いていく。微分・積分の問題だ。面接を求めるには……上から下を……こう……確か……お、合ってる。よし、この調子だ!
しかし現実とは非常なものだ。問題を解ききる前に学業ブロックへと到着してしまった。渋々リニアを降りて、僕の通う高校に向かう。時刻は7:45。HRが始まるのは8:15だから、学校につき次第課題に取り掛かれば、充分終わるだろう。
学業ブロックは広い。静岡県にあった全ての学業施設や図書館がここに集まっている上、今も増設中だからだ。しかし僕の通うF-001高校は割と早期に出来た学校らしく、一階部分に設置されているしグラウンドやプールだって完備している。近頃の学校は全部VRで済ませようとするが、あれはだめだ。水の表現がまだ拙い。あれでは泳ぎの練習にはならないと僕は思う。
学校についた。先生に挨拶をして、教室へ。中には既にクラスメイトの半数が居た。僕は着席し、ARを立ち上げ、数学を解く。うん、終わりそうだ。
◇
数学のプリントを終えHR、一限の古典、二限の体育が終わり、数学の時間だ。あー面倒臭い。
コンドウが来て授業が始まった。もちろん、予習などしていないから全て初見の問題だ。まぁ何とかなる。
そろそろ授業も残り15分となった時、クラスの皆がざわざわし始めた。皆窓の外を凝視している。終いにはコンドウまで。
「一体皆して何見てんのさ……」
僕も釣られて窓の外を見る。すると、校門が見える。その上に、誰か……いや、"何か"が立っていた。
次の瞬間、窓が黄金色に染まった。