第八話
ここまでで、第一章とさせていただきます。
どのような手法を用いるのか、いくら聞いても誤魔化されるばかりであった。
考えてみれば、仕方の無いことであろう。
いくら疑うことを知らないようなエディと言えども、私たちは今日、それもついさっき会ったばかりであるし…と言っても、私は、この無垢な少女に義務感、責務感、そういったものを抜きにして確かに惹かれるところがあったのだが…そんな相手に自分の情報をおいそれと教えるわけには行かない。
例えて言うなら、旅行のツアー先で一緒になった客と名前は交換すれども、家に招待することはない、と言ったところか。
さて、いよいよ決行の時…とは申せ、私はただ付き添うだけなのだが…
エディの、小さくも瑞々しい手が私の手を掴む。
いやに気恥しい。
曰くに、「こうしておかなければ」とのことだが、なんの効果を齎すかは今の私にはわからない。
特別こちらに何かを訴えるでもなく歩いているだけなのだが、何故だろう、夜だからか、その歩き方は酷く蠱惑的に見えた。
門に辿り着く。
彼女が、私の手を離して、兵の方に駆け寄っていく…話しかける。
ひとこと、ふたこと、みこと。
最初は訝しげな表情を浮かべていた兵であったが、何やら表情が変わり、こちらに背を向け、つまりエディの方に正対し、頷いている。
何もすることがなく、ふと視線を上にやる。
月はなく、雲が星を覆い隠している。
闇だけが、目に入る。
綺麗な空だ。
月はくまなき時を見るのではない、とはよく言ったものだ。
退廃の情緒とでも言おうか、盛りにはあまり興味を示せない、私なのである。
エディがこちらに手を振っている。
兵が、頭を下げている。
どうやら、許可は取れたようだ。
駆け寄る。
すると、少女は、こちらを向いて
「行きますよ、おねえさま!」
ワンテンポ遅れて、私のことだと気づく。
ああ、確かに…こいつは、悪くない。
少しだけ、口角が釣り上がる。
その原因を見いだせずに、私は、踊る心を抑えて、隣に立つ少女とともに、門をくぐり抜けた。
お読みいただきありがとうございます。
非常にどうでも良い話ですが、ギルガメッシュピックアップで我がカルデアのエミヤの宝具レベルが5になりました。
肝心の金ピカは出ておりません。
虹演出の期待を返せ。