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カレイド・スコープ  作者: Elias
プロローグ
7/9

第七話

新話投稿に伴って、以降の展開に矛盾を生じさせるであろう点を発見したため、前話の修正を行いました。


今も言ったばかりだが、この外野で野宿をするということは自殺行為である。


治安の悪く、規制や統制が形骸化した街では割に当然の話だ。


しかし、中で野宿が安全か、と問われれば、その答えは否である。


無法者の居住地帯。


地の利を活かした不意打ちなんぞされようものなら、むしろこちらの方が危険度を増す。

少なくとも屋内…それも外からの客のみが泊まるホテルともあれば、旨味が少なく危険、という意味から襲う理由は無いはずだ。


前門の狼、後門の虎。

されば、残された選択は一つ。

「…エディ。今夜は、眠れんかもしれんぞ」

徹夜を覚悟の強行軍でボリバニを通り抜ける。

他には、ない。


ぽかん、と口を開けた少女が、この街に酷く不釣り合いなように思えて、少しばかり、おかしかった。



街の中を、出来うる限りの速度で走り抜ける。

彼女は今、私の腕の中である。

「……!」

最初こそ困惑と怯えを表情に滲ませていたエディだが、慣れてくるに従って徐々に楽しそうな表情へと変わっていった。

目まぐるしく変わり続ける景色は万華鏡のようで、確かに素敵…と言えなくも、ない。

かくいう私は、「姫」を落とさぬために精一杯注意を払っているわけだが…


幸いなことに、未だ私達は何かに声をかけられるということもなかった。

…メリットがない、というのは大きいだろうが。


漸く出口が見え…なんと。

方向転換し、物陰に隠れて様子を伺う。

門はあれど、その機能は既に形骸化した、と思っていたが…武装兵が立っていることから考えて、検問を行っているようだ。


…なるほど。

こちらから出る人間の多くは碌でもない人間だ…賢いやり方である。


それだったらこの街にはびこる悪を取り締まってくれ、とも言いたいところだが、それはそれ。

悪を根本的に殲滅するのは理論上不可能だし、再興しようにも、こんな辺境には人は寄り付かない。


結局のところ、悪を受け入れる場所は必要であって、欠けてはならないのだろう。


エディが不思議そうに見上げてくる。

…誤魔化せそうにない。

「あそこに兵が見えたものでね。検問でもしているのだろう…

正直なことを言わせてもらうが、私は自分の身分を証明できないのさ」


心の中で舌打ちをした。

これでは疑ってくれと言っているようなものである。

もう少しうまい言い訳はなかったのか、とも思うが、たかだか1.2週間程も「生きていない」人間にそんな機転が効くはずもない。


私の自責の念は、腕の中の少女の笑顔によってかき消された。

「なら…!」

「私に考えがあります。お任せしてもらえますか?」


当然、私は頷くしかないのである。

お読みいただきありがとうございます。


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