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カレイド・スコープ  作者: Elias
プロローグ
5/9

第五話

申し訳ありません、相当短いです。

「…もう大丈夫、です。

ありがとう、ございました」

そう言って少女は微笑んだ。


その言葉で我に返った私は、慌てて手を引っ込める。

何をしていたのか。

ふん、と鼻を鳴らす。

少し、頬が熱いような気がしたが、多分気のせいだ。


強い風が吹いて、私が被っていたフードがめくれ上がる。

少しだけ顔が顕になったが、すぐにかぶり直した。


…何やら、少女の目が煌めいているのだが…


「おねえさま…」

…!?


「いや、エディ。その呼び方は、ね…」

確かに、私に名前はない。

軽々しくその場でつける気もない。


すると、エディは勢いよく首を降ると、

「おねえさまはおねえさまです!

本当に、その、なんていうか…

おねえさま、という呼び方に最も相応しい容姿をお持ちなんですもの!」


褒められているのだろうか。

…まぁ、一つや二つ、小さな女の子の願いを聞いてやったところで、罰は当たるまい。


それはそれとして。


「君は、これからどうする?」

それが問題だ。

私としては、逆側に通り抜ける形…つまり、西の門から直ぐにでも出ていく心づもりだったのだが、少女…エディがどうするつもりなのか。


「わたし?わたし、ですか…」


エディは首を傾げ、少し考えるような素振りを見せる。

そして、何らかの結論を得たのか、口を開きかけて、また閉じる。

不安そうな瞳だ。


「何、私は時間だけはあるからな。

遠慮せず言ってみるといい、少しであれば付き合ってやるのも吝かにない」


いやいや。何故、私はこんなに偉そうなのだろうか。ごめんね。

エディに心の中で謝っていると、


「はい…あの、その、厚かましいお願い、かもしれない…んですけど…」


うん。


「わたしも、同行させて頂けませんか…?」


そう来たか。


「私は気楽で無責任な旅人だからね…目的地などない。それでいいなら、構わないさ」


虚をつかれたかのような顔をするエディ。

どうした、美少女っぷりが台無しだぞ。


「え、でも…本当に、宜しいんですか?

わたし、ただのお荷物です。

魔法も使えないし、戦闘も出来ませんし、お金だって、持ってません…」


何を不安がるかと思えば、そういうことか。


「構わんよ。ここで放置して死なれても目覚めが悪い…見ての通り私は愛想が悪くてね。人と話すのが得意じゃない。君、そういうのは得意だろう?」


そう。彼女、見るところ、人並み以上の知性を有している。

話し方や所作の一つ一つに気品とは滲み出るもの…

良家のお嬢さんじゃないかと当たりをつけてみた。


「は、はい…あの、でも、お邪魔でしたら、いつでも仰ってくださいね…?」


ないとは思うが。

しかし、この少女。人を疑うということを知らないのか。

どことなく、危なげのある子だ。


「必要とあらばな。

…聞きたいんだが、か弱い女性2人が、何故こんなところに?これより東には何も無い。

ここの治安も知っているなら、来る必要性はないはすだが?」


ん?私?か弱くないから問題外、だ。

エディは、目を伏せている。

しまった。傷を抉るような不用意な発言だったかもしれない。


「実は…わたし―」


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