一通のメール
―2036年
タイムトラベルが可能となり、タイムトラベルの自由化により様々な事象の改変が起こる。
―2043年
時間移動に関する法整備が進み、タイムトラベルが厳しく制限されると同時に、国際時間管理機構が設立。
ありとあらゆる時代から人材を選び抜き、特命事象修正員として採用。
そして現在。
事象改変のダメージに耐え切れず、地球は荒廃。早急に事象改変の修正が必要である。
「―って、これなんだよ、無茶苦茶じゃねぇか。俺に関係ない。よって帰る。」
「それは許されません、渦巻シンヤ様。メールにも御記載した様に、拒否は出来ません。」
こんなん、もう俺の人生終わったも同然だ。
出来れば、タイムスリップして昨日の俺は引き止めたい。
―そう、全ての原因は昨日やってきた一通のメールにあった。
―渦巻シンヤ様
此の度、貴殿が国際時間管理機構特命事象修正員に任命された事を此処にお知らせ致します。
つきましては、明日説明会を行います故、東京都世田谷区に御座いますシライレプトホテルへと御越し
下さいます様。
又、このメールに関しては他言しない事、任命は拒否出来ませんのでご承知願います。
国際時間管理機構 人事課 課長 柊ツトム―
とある日。とある時間。とある糞ニートの部屋にて。
―何で俺にこんなメールが来たのかも分からない。いや、もしかしたら只の悪戯で、事実ではないのかも知れない。あ、もしかしたら徹夜明けの幻影かも。
タイムトラベルモノのオンラインゲームでのクエストが終了し、すっかりやる事も無くなってメールボックスを見てみたら、不思議なメールが来ていた。
宛先は勿論俺、差出人は“国際時間管理機構”。差出人名も随分突飛だが、その内容はもっと驚くべきものだった。
渦巻シンヤ様
此の度、貴殿が国際時間管理機構特命事象修正員に任命された事を此処にお知らせ致します。
つきましては、明日説明会を行います故、東京都世田谷区に御座いますシライレプトホテルへと御越し下さいます様。
又、このメールに関しては他言しない事、任命は拒否出来ませんのでご承知願います。
国際時間管理機構 人事課 課長 柊ツトム
メールの中には、もう読む事すら諦めてしまいそうになる程漢字数の多い文字の羅列。
それに、聞いた事も見た事も無い様な政府機関の名前。
辛うじて見覚えがあったのはホテルの名前だけだった。
こんな機関存在しているのか?事象修正って何だよ?とか、色々疑問は沸いてくるが、この文面から分かるのは俺が何か意味分かんない機関のナントカに任命されてしまったって事、そしてその任命は拒否できない、と言う事だった。
悪戯かとも一瞬考えたが、拒否出来ないなんて悪戯メールには書かないだろうと思って、その可能性は早々に排除された。
よって、俺のしばらくゲームとアンチにしか生かされていなかったこの脳は、このメールが本当にこの“国際時間管理機構”とか言う不思議な機関から送られてきていて、ここに書いてある事実が本当だと判断した。
だけど、それじゃまるで何かのラノベか何かみたいだな。
そう思い、俺は一人で自分に向かって鼻で笑ってやった。
俺みたいな糞ニートの元に手紙かなんかがやってきて、異世界に転生する羽目になる。
うん、そんなラノベ、サイトに行けばごろごろ転がってそうだ。
だが、そんな事を思っても俺にはどうにも出来ない。
もしかしたら自分が無意識のうちにラノベの世界に転生でもしてたのかもしれないし。
そう思った途端、結構安直にこれが事実だと思えてきた。
まあ、全ては明日ホテルに行けば分かる。
何もやっていなければこれはただの悪戯メールだと分かるし、本当にやっていたら、本当だったという事。
徹夜明けで眠い目を擦りながら見ていたパソコンとさよならし、俺は微睡の世界へと意識を引き渡した。
ご閲覧有難うございます、作者の天宮遥空と言う者です。
今回初めてこの「小説家になろう」に投稿させて頂きました。
今まで他サイト様で二次創作などに手を出しておりましたが、今回ようやくオリジナル小説の執筆に着手することができました。
文章の構成や言葉回し、表現等まだまだ至らぬ場所ばかりですので、皆様の鍛え抜かれた目で見ていただき、ご指導頂けたらなぁと思います。