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奴隷解放宣言ですぐに世の中よくなるのか

適当ですまん。

この日、民衆の前で王妃が高らかに告げる。


「奴隷解放宣言です!」


民衆たちは、特に最下級にいる人々は大歓声である。泣いているものたちさえいる。


この宣言の内容は、


一つ、奴隷はもうこの国にいません。

一つ、奴隷の取引は禁止です。

一つ、他国にも批准を求めていこう。


こんな感じかな。


「やったな!」俺様

「ついにですね」堅物

「当然のことだけどね」チャラ男

「歴史的な一歩です」ロリコン


この国から奴隷はいなくなりました。人道的に良いことだと思います。

気になることは、王弟殿下が反対したことです。いや反対なのではなく、どんな影響が出るか判らないので、いち地方で試して様子をみてはどうかと言っていたのですが、


「良いことなら、即座に行ってなにが悪い!」


と俺様に退けられました。事前に悪役令嬢さんと会合していたことも気に食わなかったようです。

いずれにせよこの国にのあちこちで、解放された奴隷たちの歓喜を聞くこととなるでしょう。


だが、すんなりいきませんでした。

悪役令嬢さんの公爵領でとんでもないことが起こったのです。


ーー公爵領でも奴隷はダメだけど、『農奴』ならいいですわ!


???


国の方針どおり奴隷はダメだけど、農奴はいいのよ。奴隷の売買はダメだけど、農奴の取引は禁止されてないわ。奴隷商人は廃業ね、農奴商人なら好きにすればいいわ。


???


新たな概念が誕生した。『農奴』とは、なんぞや?


「なんなんだこれは!」

「奴隷とかわりません」

「名前が違うだけじゃん」

「主人から生殺与奪権は取り上げるようですが・・・」


いちおう、農奴を殺すと殺人罪の適用になりますが、他は奴隷と同じでしょう。


「あの女、本当に自由・平等・平和の現代日本人だったの? 信じられない!」


ヒロインさんの激昂がいちばん凄まじかったです。


さらに彼女は奴隷解放宣言の批准を拒否した東国の第二王子を婿に迎える始末。あからさまに国の方針に反抗です。


「農奴は農奴であって、奴隷ではない」と悪役令嬢さん。


屁理屈が全力全開となっております。

国の人々は、彼女の人を人と思わぬ言動に嫌悪しました。




そして20年後


最近あちらこちらで争いが起こっています。

平民と奴隷から解放された民との間でです。


「我々は、平民だ。どうして同じように扱われないんだ!」

「うるさいよ! 以前まで奴隷だった分際で!」


こんな感じです。


もう一つの問題は、他国との関係悪化です。他国の奴隷たちがわが国の解放宣言を聞いてうるさいそうです。

北国からは鉄鉱石、西国からは農作物などで締め上げられ、奴隷解放撤回を求められています。軍事的圧力も高まりつつあります。


例外は、悪役公爵領のみです。


平民たちは「自分たちの下に農奴がいる」と満足し、

農奴たちも「昔と比べると待遇が良くなった」と満足気です。


各地の解放民よりも農奴たちのほうが不自由なのに、幸福度が高い。このおかしな現象を調べるため『心理学』という新しい学問が注目されています。


20年間で農奴商人たちの取引内容が変化しており、昨今では農奴の直接売買よりも農奴派遣業が主流となりつつある。農奴の主人層にも必要なとき必要なだけ派遣農奴を入れたほうが経済的と好評である。近々、農奴から『派遣労働民』と名称を変更するそうである。

これらは悪役令嬢さんによって主導されている。


隣接する東国との関係も悪くなく。わが国いちの平和地帯となっている。

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