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税制改革って税金払わなくていい抜け道をつくる作業なのさ

適当がマックスへ

ヒロインさんが提案し悪役令嬢さんが難癖を付ける、というスタイルが確立しているように見えるかもしれない。時として反対のことが起こることもある。


「バカな。増税するというのか!」と俺様

「民からまだしぼり取るというのでしょうか?」と堅物

「えげつないよね」

「金の亡者。人民の敵といえましょう」とロリコン


問題となっているのは、悪役公爵領で新設された史上初の税制度、


『消費税』 です。


「古今未曾有天下の悪税 キター! あの女、墓穴ほったワー! 悪役公爵領のGDP成長率に急ブレーキよ!!」


ヒロインさんはある意味いつも通り、意味不明?

今回は大喜び。


でも悪役令嬢さんを擁護する人もいます。たとえば王弟殿下。しかし・・・


「貴様まで同じことを言うのか! そんなに悪役令嬢を慕っているなら、大公に任じてやるから東の領地へ行ってしまえー」


そう言って、王都から追い出してしまった。

王弟は以後大公として、東の王家直轄領を割譲されそこを領地とします。でも、そこは森林の中、人っ子ひとりいやしません。仕方なく王弟大公は悪役公爵家の世話になることになりました。


しかし、王弟を見せしめにしても、多くの貴族が新たな税の導入を求めてきます。なんせ奴隷解放・教育改革・PKOなど、金のかかること半端ないからです。


でもヒロインさんは、


「消費税はダメ。ダメなものはダメ!」


と認めません。


しかし貴族たちの声を無視することはできません。そこで新たな税制案が示されました。


その名も、『累進的資本税』 である!


これは所有している資産の大きい者に多額の、資産の少ないものは少額の税金を毎年課すというものです。王家によって税率がいかほどか発表されると、王都の民は喜びを爆発させた。


「さすが王妃様だ。われわれ弱者の味方だ」

「王妃ヒロイン、バンザーイ!」


ヒロインさんへの賞賛は止まることを知りません。

民のほとんど全てが、自分たちは悪役領の人間でなくてよかったと言って泣いたという。


「私は『21世⚫︎の資本』を読破したチート経済人なのよ!」


とヒロインさんは自身に向けられる人気に気を良くしていた。




20年後


累進的資本税という野心的な試みは、完全に失敗に終わっていた。

導入され資産の大小による公平な課税は確かに実施された。ただし平民のみである。なんと税の管理者である貴族たちは自分たちを課税対象から外してしまったのだ。


特権をまざまざと見せつけただけである。


言うまでもなく、一般民たちは怨嗟の声をあげた。

また大資産家である貴族たちが支払わないのだから、十分な予算が得られず、多くの改革が中途半端になってしまう原因となってしまう。

実際の実務をこなす彼らがみな足並みをそろえ、自分たちに突き付けられた高い税率に無言の反対で対抗したのだ。


このことは後に、


「一流の王は貴族を使いこなし、三流の王は貴族と対立する」


という格言まで生み出した。


一方悪役公爵領は、消費税によって十分な予算を確保することに成功していた。食品や日用品にまで税がかかているため、毎年とてつもなく安定した納税がある。


納税者たる公爵領民たちの不満も大したことはない。王都や他の領地より多くの税を納めているにもかかわらずである。導入直後こそ、中央に訴えるまでの反発があったが、すでに鎮火している。

なれたということもあるだろうが、別の理由もある。


この消費税、なんと『貴族から税を徴収することに成功』しているのである。


悪役領内でなにかを購入した際、どうあがいても自然と徴収されてしまうのだ。貴族であろうが、王族であろうが、悪役令嬢さん本人であろうが関係なくである。


商人が代金を受け取り、そこから計算され領地に納められるのだから、角度を変えると民が貴族から税を徴収しているようにもみえる。領民の自尊心を満足させているのだ。

貴族たちも消費税で支払う分など、微々たるものだと気にしない。これで領民が大人しくなるなら結構ではないかと。

悪役令嬢さんはこういった情報を領民や貴族に巧みに流布して、心理誘導を行って反発を解消しているのだ。


なんという悪役マジック!


しかも十分な予算で、王都や他領と比べものにならない善政が敷かれるるのだ。文句など出ようはずがない。


悪役令嬢さんに聞いたとこによると、余った予算は軍備にまわしているらしいです。そして、


「わが国はヒロインさんと攻略対象者たちの失政で、未曾有の危機に陥ってます」


と僕に、厳しい顔で警告するのだった。


なにそれこわい

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