PKOって本当に海外で高い評価を受けてるんですか?
200年程前まで、わが国は南海の向こうにある南大陸の大帝国の侵略に悩まされていた。
しかしこの大帝国、幾つもの国に分裂して争いはじめてしまった。今では治安の悪い貧しい後進国となっている。
かつての大帝国の後継国である南帝国が、わが国に助けを求めてきた。
「国際平和維持活動軍の派遣を決定します! すなわちPKOです」
誰もがヒロインさんの英断を褒め称えた。
ぴーけーおー、とやらの意味はわからんが・・・
この軍の活動は以下のとおり、
一つ、紛争地帯での治安維持・調査・休戦調停
一つ、食糧・医薬品・その他物資の運搬と配給
一つ、街道・橋・水路などインフラ整備
などである。
もちろん見返りとして、わが国の貴族・商人が優先的に帝国の国家事業に携わることができたり、帝国内で好条件で商売ができたりする。
「王国の威光を南帝国の連中に見せてやろう!」と俺様
「人道的にも正しいことです」と堅物
「かつての敵国を助けるなんて、カッコイイじゃん」とチャラ男
「教育の分野でも何かできないか検討しましょう」とロリコン
優越感に浸ることができ、また経済進出を目論んで皆がたいへん乗り気であった。
悪役令嬢さんを除いて・・・
悪役公爵家は、この活動に対して唯一金も人も出すことはなかった。その代わりに南帝国以外の周辺国家にボランティアを派遣することを決定した。
悪役令嬢さん曰く
「NPOですわ」
これは有志による小規模の非営利事業であり、治安維持などできず、インフラ整備も井戸を掘るぐらいである。PKOと比べると見劣りしてしまう。いちおう慈善活動のため表立って文句を言うものはいなかった。
「ふん」
「協調性のない方です」
「もうほっとこう」
「国際平和維持活動軍の大義が解ってないのです」
20年後
治安が回復し、インフラ整備が行われ、食糧や医薬品を受け取ったあげく南帝国は裏切った。彼らは自国が発展すると、王国の風下に立つことに我慢できなくなり、とんでもない嘘をでっち上げのだ。
これは後に、『従軍◯安婦問題』といわれる。
南帝国はわが国の軍が女性を強制連行して性奴隷にしたとプロパカンダしたのだ。
王国の奴隷解放宣言は嘘で、本当はどこよりも野蛮な国家ではないかと、北の周辺諸国から大バッシングを受けることとなる。これは後々まで尾を引く中傷となってしまう。
調子に乗った南帝国は賠償金を請求してきたり、わが国の商人を無実で捕らえ保釈金を支払わせたり、やりたい放題である。
だが南帝国に天罰が下った。
帝国をぐるりと囲む小規模国家群が宣戦布告してきたのだ。ひとつひとつは小さくても、南帝国は複数国の全方位からの侵攻を受けどうにもならない。たたかれ・奪われまくった南帝国はまた後進国に後戻りすることとなる。
実はこの粛正を裏で手を引いた人がいる。
悪役令嬢さんだった。
「転生前のことを思い出して、手を打っておいたの」
この南帝国の周辺国家は悪役令嬢さんのNPO活動にたいへん助けられている。帝国の恩知らずな行いで、NPO活動が打ち切られることを恐れたのだ。
「でも、傷つけられた名誉と帝国に投資した資金はどうにもなりませんわ」
そうですよね〜