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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第六章 とりあえず対話してみる

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第九十七話

「ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


「早くそっち押さえて!」


「そんないきなり言われたって困るんだよ!」


 翌日、まだみんなが寝静まっている早朝。

 俺とミーニャは誰にも(特にマオに)ばれないように家を出た。


 やってきた場所はマオの城――昨日も寄ったオークが居る件の場所である。


 何をしにやってきたのか。

 その答えは簡単である。


「ぶひぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!」


「もう、うるさいんだよ! そういう子は取りあえずこれで口を塞いで――」


「ぶ、ぶひぃいいいいっ――――もごご……もごっ」


 誘拐である。


 別の言い方をするならば、拉致ともいう。

マイルドな言い方をするならば、御同行いただいている。


 誰に?

 もちろんオークにだ。


「もういいよ、お兄ちゃん。拘束魔法を三重にかけたから、そうそう脱出できないと思う。念ために目隠しもしたし」


「お、おう」


 何でもいいけど、ものすごく物騒な台詞だな。

 まるで犯罪者のようだ。


「ようだっていうか、殆ど犯罪者だよ。お師匠さまには秘密なわけだし」


「確かに……というか、勝手に心を読むなよ!」


「えへへ~」


「……はぁ」


 まったくこいつは。

 俺は呆れつつも続ける。


「それで? 今度こそ大丈夫なんだろうな?」


「オークに意思伝達できるか?」


「あぁ」


 俺が頷くのを見ると、ミーニャは自信満々そうかつ愛くるしい笑顔で答える。


「大丈夫だよ! 今度こそ絶対に大丈夫!」


「…………」


 とか言って、また何かとんでもない事件が起きる気がしないでもないが、とりあえず今のところは――。


「信じるよ、じゃあ任せたぞ」


「うん!」


 妹と共にオーク達を『穏便』に黙らせ、その首領らしきこのオークを誘拐するのだった。


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