表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第五章 とりあえずリベンジ就職してみる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

86/155

第八十五話

「つまりなんじゃ、もっとやり甲斐のある仕事をくれと?」


 なんだろう。

 マオに思っていることをありのままに話したら、現状に満足していない新入社員……もしくは、口ばっかりで役に立たないアルバイトみたいになってしまった。


 なんだか俺がした話をかいつまんで纏められ過ぎた感はあるが、言いたい事は大方伝わったようなので、とりあえずはこの辺りで妥協しておくか。

 何せ――。


「マオ姉さん、お兄さん……どうして開けてくれないんですか?」


 そんな声と共に聞こえてくる扉をドンドンと叩く音。

 そう、奴が居るのだ。

 あのダメ狐ことリンが、この扉の向こうには居るのだ。

 奴が来たら間違いなく普通に話すことは不可能だ。


 俺が真面目に話したかったから、エリスにリンを足止めしてくれと頼んでおいたのだが、結果はご覧の通り。


「お兄さん……マオ姉さんを凌辱する気ですか?」


「あ、あんたバカじゃないの!? よくそんな恥ずかしいこと言えるわね!」


「……はぁ」


 そう、結果はご覧の通り。

 足止めどころか、エリスまでついて来てしまっているのだ。


 もっとも、何とか奴らを振り切り、マオの部屋に転がり込む事に成功した今となっては、それほど気にする事ではないのかもしれないが、向こうは魔法を無効化する貧乳娘と、魔王クラスの魔法をポンポン行使するダメ狐。


 いくらこちらにも魔王が付いているからといって、決して油断の出来る状況ではないだろう。

 よって、奴らがこの部屋に侵入してくる前に、眼の前の魔王ことマオと話をつける必要があるのだ。


「何を溜息ついているのじゃ」


「溜息吐きたくもなるだろ、あれ」


「まぁそう言うでない。リンはともかく、エリスは比較的まともじゃからな。一緒になって騒ぎを起こすことはないじゃろ……多分」


「多分、ね」


「多分、じゃ」


 部屋の中でマオと互いに顔を見合わせたのち、俺たちはゆっくりと頷く――お互いにお互いの苦労(主にリンに対する)を理解できるっていい事だな。


「それで話の続きじゃが……」


「ん、あぁ。エリスと一緒に居るだけでお金もらうのアレだから、とにかくなんか仕事くれ。あくまで体裁だから、金銭は要求しないから」


「我はそんなにせこくないのじゃ! ……でもわかったのじゃ、そこまで言うのなら、しっかりとした仕事を準備するのじゃ」


「…………」


「そんな顔をしなくても、安心して任せるのじゃ」


「……まぁ、信用してるよ」


 俺がそう言った途端。

 背後で扉が吹き飛ぶ音が聞こえたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ