第七十三話
五秒でわかる四章まとめ
妹と地下室に閉じこめられる
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妹が漏らしたら裸の女の子が出現
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新しい就職先が決まる
「えっと、ここが俺の部屋か」
マオとの久しぶりの出会いから数分後、俺は彼女が住まう魔王城の一室へと案内されていた。
「ミーニャに頼み込まれて仕方なくってのもあったけど、まさか一度クビになった職場で再び働くことになるとは思わなかった」
それも今回は個室をあてがわれた住み込みでである。
本当に人生どうなるかわからない。
「にしても、魔王の城だけあって、この部屋かなり広いな」
見渡せば見えてくるのは、一目で高そうとわかる家具の数々。
奥にあるキングサイズであろうベッド、その横にある巨大なクローゼットは……おそらくウォークインクローゼットだろうか、そして一番目に留まるのは、楕円形をしたテーブルの前に置かれているソファーだ。
「…………」
見るからにふかふかそうで、弾力ありますよアピールをしてくるそれは、俺の事を座らせようととてつもない魔力を放ってくる。
「そ、そこまで言うのなら……」
座ってください。
そんな幻聴が聞こえた俺は、別に急いでいるわけでもないので、ベッドの上へ荷物を放り出すとそのソファーへと腰掛ける。
「うおっ」
感想は一言――ふかふかのふわふわ。
それだけに尽きる。
腰掛けた瞬間、まるで腰全体を包み込むようにソファーのわたが抱擁してくれ、背中を預ければそこはかとない弾力で体重を受け止めてくれる。
とか、そんな詳しい話はどうでもいい。
どうでもいいくらいに気持ちのいいソファーだった。
おそらくはマオの財力をふんだんに使った特注品か何かなのだろ――細部に狐のような総称が施してあるしな。
このソファー、頼んだら俺とミーニャの家にも一台置いたり出来ないだろうか。
そう思ってしまうくらい――
「いけない……思わずソファーの感想だけで、三日間くらい語ってしまいかねないほどの気持ちよさだった」
でも、もう少しゆっくりしているくらいは良いだろう。
エリスとマオは現在、この部屋の隣にある別室(エリスの部屋になる予定の部屋)にて、何やら準備をしているらしい。
何の準備かは皆目見当が付かないが、時間がかからないとは限らない。
少しくらいならこのソファーに身を委ねて、夢と現実の境界を彷徨ってもいいだろう。
「……ふぁ」
俺は一つあくびをして、ゆっくりと眼を閉じるのだった。




