表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第四章 とりあえず何かしてみる

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/155

第六十話

とは言ったものの。

 ここから出る手段など本当にあるのだろうか。


「なぁ、ミーニャ」


「な、なに……お兄ちゃん」


「何でそんなにビクビクしてるんだよ――まぁいいや、この部屋の出口って本当に一つしかないの?」


「う、うん……えへへ」


「…………」


 なんだろう。

 ミーニャの態度が不審すぎてやばい。


 まぁそれはおいおい問いただすとして、やはりこの部屋の出口は一つ――すなわち、俺たちが入ってきたあの扉しかなさそうだ。

 そうなると、当然この部屋から出る方法は一つしかない。


「あの扉を開けるしかないんだよな、やっぱり」


 でも現状、それが出来ないから悩んでるわけで……待てよ。


「この部屋って防音だったりしないよな?」


「し、しないよ」


 俺が聞くと、あいも変わらず全体的に不審なミーニャはぎこちない笑みを返す。

 本当に何なのだろう、こいつは。

 まさか知られてはならない何かを隠して居たりするのではあるまいな――例えば、自分だけしか通れない秘密の抜け穴とか。


「…………」


「えっと、どうしたの……お、お兄ちゃん?」


 怪しい、実に怪しい。

 だがしかし、こいつが俺にそんな隠し事をするとは思えないので、それは除外してもいいだろう。

 と、俺がそんな事を考えながらミーニャを見ていると、彼女は居心地悪そうに言う。


「どうして防音かどうか聞いたの?」


「ん、あぁ……防音じゃないなら、リゼットとリンが帰ってきたら、あいつらに助けを求めればいいだけの話かなって」


 別に急ぎの用事があるわけでもないし、ここには話し相手もいる。

 俺が挙げた戦法は十分に実用性が――


「お、お兄ちゃん……実はね」


「ん?」


 何とも気まずそうな笑顔でミーニャは言う、この後の運命を決定づける一言を。


「実は……」


「実は?」


「トイレ……行きたくなっちゃたんだよ」


「…………」


「…………」


 俺が挙げた戦法はまるで役に立たなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ