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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第三章 とりあえず傷心してみる

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第五十六話

「お、おはよう……ミーニャ」


 なんだ。

 何も悪い事はしていないはずなのに流れるこの汗は。


「ふぇ……お兄ちゃん?」


 ミーニャはまだ寝ぼけているのか、二次元幼女が困った時に出す様な声を上げて、ぼんやりとこちらを見ている。

 そしてそんな彼女を見つめるは、妹の手を握りながら一緒の布団に入っている兄。


 念のために言っておくが、俺がミーニャの手を握っているのはやましい気持ちからではない。

 彼女が寝ぼけて掴んでいる俺の服から、手を外させようとするためであるという点を忘れないでほしい。


 って、誰に言い訳しているんだ俺は。

 というか、何を焦っているんだ俺は。


「……ん」


 っ――まずい。

 ミーニャの意識が覚醒しつつあるのか、彼女の瞳がどんどん開いて――


「あ、お兄ちゃん! おはよう!」


「…………」


 はい?


「昨日、夜トイレに行った後に、お兄ちゃんの部屋に来たの忘れてたよ! ビックリしちゃった!」


「…………」


 なんだ。

 俺の眼の前にはいつも通りの反応を示すミーニャが居た。


「でもまだ眠いね……もう少し寝る……よ、おやすみ……」


 おまけにまた眠ってしまった。

 俺に手を握られたまま。

 俺の布団で俺と一緒に寝ながら。


「…………」


 なんだろう。

 つまり勝手に意識してパニックに陥っていたのは、俺だけだったということだろうか。

 いや、まぁ見る限りそういう事なんだけどさ。


「虚しい……」


 何が虚しいって、妹であるミーニャが布団に居ただけで、テンパって色々な想像をしてしまった俺が虚しい。

 よく考えてみれば、別にパニックに陥る様なことは何もない。


「…………」


 この世界で出来た妹が、初めて甘えてきただけの事だ。

 完全に意識し過ぎだったな。


「何だか騒いでたら疲れたし」


 朝からこれだと先が思いやられるが、俺は隣でスゥスゥと寝息を立てるミーニャを見て思う。


「俺ももう一人眠りするかな」


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