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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第三章 とりあえず傷心してみる

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第五十三話

「いや、待て」


「お兄ちゃん、さすがに犯罪だよ!」


「ミーニャ様の言う通りです、さすがにまずいと思います」


 犯罪?

 まずい?

 俺は何もしていないぞ。


「なんとなくお兄ちゃんの言動と行動を見てて、そんな感じはしてたけど……まさか本当にやるとは思わなかったんだよ」


「そんな感じって何!?」


「お兄様、妹とはいえそういう説明をさせるのは犯罪ですよ」


「だからそういうってなに!?」


「っ――」


 顔を真っ赤に染めながら、俺から視線を逸らすリゼット。


 うん。

 この人はいったい何に恥ずかしがっているのだろう。

 俺には全く理解できないよ、リゼットさん。

 というか、


「お前ら体隠せよ! せめてタオルの一枚くらい巻けよ!」


 俺がビシっと指さしながらツッコむのは、ミーニャとリゼットの恰好。

 全裸だ。

 気持ちがいいくらいに全裸だ。


 しかもあまりにも堂々としているので、もう見てもこう……男性特有のアレが来ない。なんかそこにあって普通な物を見ている気分だ。

 気分なのだが、だからと言って全裸でいいわけでは決してない。


「お前ら恥ずかしくないの!? 男だぞ、俺!」


「え、だってミーニャは妹だし」


「私はお兄様なら別に」


「…………」


 ダメだ、こいつら。

 どうやら俺とは根本的に感性が違うようだ。


「はぁ」


 溜息一つ吐きながら、どんどんたまっていく疲れに辟易していると、


「お兄さん、お兄さん」


 ぺたぺた。

 と、俺の左腕が何度か叩かれる。


 そちらを見るとそこには例のダメ狐が居て、


「お兄さん、責任取ってください」


「だから何の!?」


 余計に俺の疲れがたまっていくのだった。

 おかしい、どうして俺は風呂に入っているのに、まるで休まらないのだろうか。


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