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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第三章 とりあえず傷心してみる

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第四十一話

なにこれ?

それがミーニャのプランに従ってこの場所へ来てからまず思ったことだ。

 本当にこれ、なに?


「お兄ちゃん行ったよ!」


 上空から聞こえてくるミーニャの声。

 それに呼応するかのように眼の前の茂みから飛び出してきたのは、豚が二足歩行したような獣人。


「なんだよ、本当に!」


闇雲に突っ込んできたそいつの腕を取り、地面へ叩き伏せると同時に、頭部へ強烈な一撃をお見舞いして意識を飛ばす。

 それからしばらくすると、空からフワフワとミーニャが下りてきて言う。


「お兄ちゃん、それは魔物……モンスターだから倒しちゃってもよかったのに?」


 これがモンスターならば、街中を歩いている二足歩行のライオンとかは何なのだろう。

 俺にはその違いが全く分からないが、もう一つ気になったことがあるので聞いておく。


「倒す、とは?」


 するとミーニャは「えっとね」と、にこやかにほほ笑みながら気絶した豚さんに杖を向け、


「こんな感じ?」


 …………。

 ………………。

 ……………………。


「…………」


 うむ。

 今見たことは見なかったことにしよう、そして記憶から抹消させていただこう。と、俺が苦笑いを浮かべていると、茂みがまたも揺れる。

 また豚型モンスターかと身構えた俺とミーニャだが、


「ミーニャ様、もう一頭見つけたので狩っておきました!」


 茂みから出てきたのは、モンスターを背負って誇らしげな笑みを浮かべるリゼットの姿だった――あえて口にはしないが、モンスターの体液やら何やらで、服がべっとり濡れていてそこはかとなく狂気を感じた。


「はぁ……」


「何の溜息、お兄ちゃん?」


「いや、何でこんなことしてるのかなって……ね」


 俺は周囲に広がる大自然を見渡す。

 というのも俺たちは現在、旅館近くにある山の中で絶賛山登り中なのだ。

もっとも開けてみれば、モンスターがうようよしている山のため、何かのクエストでも受注したような状況になっているわけだが。


「さっきも言った通りだよ! この上のバーベキュー場で景色を見ながらお昼を食べるんだよ!」


 言って、ミーニャは先ほど倒したモンスターとリゼットが背負っているモンスターを、交互に指さし続ける。


「食料も現地調達出来て一石二鳥なんだよ!」


「ミーニャ様! ここに食用の薬草が生えて居ます!」


「えへへ、リゼットさんやったね! これで野菜にも困らないよ!」


「…………」


 こいつら。

 バカだ。


 何がとは言えないが、何だかふとそんな事思う今日この頃であった。


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