第百四十九話
「ではまず基本的なことからいくのじゃ」
尻尾をフリフリ、耳をピクピク可愛く震わせながらマオが取りだしたのは四角い積み木のよ
うなもの。
「何に使うんだ、それ?」
「まぁ待つのじゃ、順番に説明してやるのじゃ」
言ってフリフリピクピクとマオは、様々なものを眼の前に置いて行き――最終的に眼の前に置いたものの数が十を超えたあたりで「これでいいのじゃ」と呟いて、俺を見る。
「おぬしにはこれらを横にズラス事から初めてもらうのじゃ……そうだの、まずはこの一番小さくて重さも殆どない紙から初めてもらうのじゃ」
なるほど。
それで徐々に移動させられる重さや大きさを増やしていくわけか――かなり合理的な訓練方法だと思う。
「…………」
「…………」
あれ?
なんだかマオが黙ってこちらを見ているだけになったが、これはいったいどういう事だろう。
「…………」
「…………」
しばらく経っても状況は変わらず、二人でじっと見つめ合うという妙な空間が続く。だが、先に痺れを切らせたのはマオの方だった。
「どうしたのじゃ? 何故早く動かさないのじゃ?」
「え、いや……動かし方わからないんだけど」
当然だろう。
こちらは魔法の根本からして、何もしらないのだから。と、抗議の向けて居ると。
「そんなのはあれじゃ! こう……びゅーっと、そういうイメージでやれば動くのじゃ!」
「なるほど、ビューな」
うん、全くわからない。
何を言っているのか全くわからない。
「何を不明そうな顔しているのじゃ! ミーニャの時はさっきみたいな説明で全部通じたのじゃ!」
「マジかよ」
「マジじゃ!」
さっきの説明になっていない説明で通じた?
とりあえず、マオの教え方が絶望的に終わっている事はわかったが、もう一つわかったことがある。
柔軟なのか、はたまたマオの教え方が偶然合っていただけなのか……ミーニャは予想以上に頭がよかったようだ。
「にしても」
先が思いやられるな。