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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第九章 とりあえず起業してみる
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第百四十四話

「簡単に言うと、お兄ちゃんは土地が必要って事だよね?」


「いや、簡単に言うも何も……最初からそう言っているんだけど」


「ん~」


 言って、露骨に「考え中」みたいな顔で悩みだすミーニャ。


 なるほど、どうやらこれはアレだ。

 俺の反論はスルーされたらしい。

 

「お兄ちゃんはお店を開く気で、でも土地とか色々なくて困っていて……なおかつ誰かに土地を借りてもいいって考えてる」


 一人で俺が言っている事をまとめていくミーニャ。

 その必要性はよくわからないが、俺にとって事態が好転するのならば、ここは彼女がまとめ終わるまで黙ってまとう。


「あ、お兄ちゃん!」


「ん?」


 突如、パッと笑顔を咲かせて立ちあがるミーニャ。

 そして彼女は言う。


「じゃあ、土地を貸してあげるんだよ! しかもかなりいい土地なんだよ! ここから近いし、お兄ちゃんも親しみがある……そんな場所なんだよ!」


「ここから近くて、親しみがある場所?」


 そんな場所がこの近辺にあっただろうか。


 ここから近い場所という条件でのみ考えるのならば、候補はいくらでも挙げられる――なにせ近いだけでいいのだから。


 しかし、そこに親しみのある場所という条件を追加してみると、候補をあげるのは途端に難しくなる。


 何せ俺は一応、異世界からやってきた人間であり、この世界で親しみの在る場所なんてこの家と……ん?


 思いかけて気が付く。


「ここから近くて、親しみがある場所……?」


 なぁ、ミーニャ。と、声をかけることによって一呼吸置き。


「それってさ、まさかとは思うんだけど」


 俺は真下を指さして言う。


「ここ?」


 するとミーニャは『すごい、何で分かったの』みたいな顔をしながら。


「そうなんだよ! ここの土地を……というか、このお店をまるまる貸してあげるんだよ!」


「…………」


 なるほど。

 ここから近くて、親しみがある場所な――うん、確かにこの店ならどっちの条件にも当てはまるよな。


 というかこいつ、そんな簡単に店を明け渡す宣言していいのだろうか。

 この日、俺は器が大きいのだか何だかよくわからない妹を見ながら、むーっと唸る事になるのだった。


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