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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第九章 とりあえず起業してみる
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第百四十話

まずい。


 直感的に……いや、草食動物が肉食動物を見て瞬時に悟るように――そう、俺は半ば本能的に理解した。


 このままではまずい。と。


 何がまずいのか。

 そんなものは簡単だ、悩むまでもない。


 このままでは話が意味の分からない方向に逸れだし、最終的に三百六十度ほど回ってから再スタートする可能性がある。

 簡単に言うのならば、話の要点を聞きづらくなる。


 魔王の妹こと駄目狐リン、彼女にはそんな能力があるのだ。


「……ニヤリ」


「っ!」


 ほら見ろ――まるで獲物を見つけたかのように、口元を隠してニヤニヤしている。

 ここに入ってくるさいに俺を探していたようだし、どうせまた何やかんやと言ってくる気だろう……だがしかし。


「お兄さ――」


「マオ!」


 だがしかし!

 今日の俺は一味違う。


 俺はリンの言葉を自らの言葉で封殺するとともに、マオへの手を握って続ける。


「教えてくれ! 一刻も早くさっきの答えを教えてくれ! 俺はお前の口から……お前の言葉で答えを聞きたいんだ!」


「な、なんじゃいきなり!?」


 いささかオーバーすぎる行動と言動のため、マオがビックリするのも無理はない。けれども、リンを黙らせて、早急に答えを聞くにはこれしかないのだ。

 こうすればリンの発言をなかったことにしつつ、マオに答えを促せる。


 我ながら完璧な作戦だ。



「なんだか知らんが、そんなに答えを聞ききたいのか?」


「あぁ、聞きたい!」


「まぁ渋る事でもない……そこまで言うのなら、答えを聞かせてやるのじゃ」


 マオは俺に手を握られたまま、やや恥ずかしそうにしながら。


「えっとじゃな、店をだ――」


「ダメです!」


 言えなかった。

 恥ずかしそうにしながら何かを言おうとしたが、リンが突如として大声をだしてそれを妨げてきたのだ。


 く、バカな。

 俺の作戦が失敗したとでも言うのか?

 経験上リンは一旦黙ると、しばらく静かなはずだが。


「マオ姉さん……寝取りはダメです」


「は?」


「なんじゃと?」


 なんだか、また訳の分からない事を言いだしたリンなのであった。


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