第百三十六話
「私が思うに商売には必勝法がある!」
「ほーう」
必勝法とはどんなものだろう。
何事も堅実にコツコツやるのが最強だと思うのだが、そんなものがあるのなら是非聞いてみたい。
「お前が言う必勝法とやらを教えてくれる?」
「えっへん! では教えてやるぜ!」
などと胸を張っているクー。
「…………」
自信がありそうなのはいいけど、正直まるで信用できない――とはいうものの、露骨に否定するのも可哀想だし、ある程度は参考にはするけどな。
俺が考えて居る間に、胸を張ったクーは自信満々に喋りだす。もしも彼女にリンのような尻尾が生えて居たら、フリフリと左右に嬉しそうに動いていた事だろう。
「まず私がひたすら街で暴れまくる! そしたら――」
「そしたらそれを俺が懲らしめに行く?」
「っ!」
「いやいやいや! そんな『何でわかったんだ!?』みたいな顔されても困るからな!」
普通わかる。
そういう言い方されれば一発でわかる。
「論外だからな、それ」
「必勝なのにか?」
「何をどう考えたら必勝法になるんだよ。それ、お前犯罪者になるよな!?」
「え、私の心配か? 照れるぜ!」
「…………」
こいつだけが犯罪者になる様な言い方をしたが、よく考えると俺も詐欺師扱いされる気がする――気がするというか、確実に詐欺師だ。
「確かに序盤は儲かるかもしれないけど、詐欺はまずいだろ詐欺は。バレたら何もかも終わるぞ」
「知ってるか?」
「?」
「バレなければ詐欺じゃないんだぜ? って、リンが言ってたぜ!」
なんだろう。
クーに狐耳と狐尻尾が見える気がする――完全に幻覚だが、疲れているのだろうか。
「いいか、クー? この際だから言っておく、あいつの言う事は絶対に信じるな」
そろそろ他の奴のアイデアも聞いた方がいいのではないか。
そう始めた俺だった。
ジャストなコーズの三作目あるじゃないですか。
まずいですね、あれ……面白すぎて色々とサボってしまいそうだ。