第百三十一話
「とまぁ、本気で置いて行くわけにもいかず」
俺はエリスが繰り返す面倒くさい事この上ない発言をしっかりと聞き、自分で自分を褒めたいほどしっかりと彼女に対応した。
途中からエリスがとんでもない誤解をしていた事に気が付いたので、それについてもしっかりと対応させてもらった――というかエリスの奴、俺がとんでもない変態であるかのような勘違いしやがって……バカなのかあいつは。
そんなこんなで、とにかく俺は頑張って対応した。
その結果。
「お兄さま!」
「あれ、お兄ちゃん?」
俺とエリスは無事?にミーニャとリゼットと合流していた。
「感謝しないさいよね! あんた達を迎えに来てあげたわ!」
「そうなの、お兄ちゃん?」
「まぁ感謝してほしいわけではないが、おおむねエリスの言う通りであってるよ」
「ありがとうございます、お兄さま! わざわざ迎えにきて頂けるとは……感謝感激の極みです!」
「ふん、もっと感謝しなさいよね!」
あれ。
感謝されたのは俺のはずなのに、何でエリスが偉そうにしているのだろう。ということは置いておこう、こいつはこういう奴なのだから、いちいち突っ込んでいたらきりがない。
「それで、探していたものは見つかったのか?」
「大丈夫、ちゃんと見つかったんだよ!」
「……え、本当にみつかったのか?」
「?」
「あ、いや……見つかったのならいいんだけどさ」
俺の反応を見てミーニャは不思議そうに首をひょこりと傾げている。
いや、だって本当に見つかっていると思わなかったのだ。
どうせまた面倒くさい事がワンクッション……ツークッションくらいあると思ったのだ。
まぁ見つかったのならそれに越したことはない――決してちょっと物足りないとかは思っていない。
「それでは帰りましょうか?」
俺とミーニャの会話の区切りがいいと頃で声をかけてくるリゼット。
俺はそんな彼女に頷いて言う。
「あぁ、帰ろう。それと二人ともお疲れさま……あとエリス、付き合ってくれてありがとな」
「えへへ、照れるんだよ!」
「いえ、私は殆ど何もしていませんので」
「ふ、ふん! ……ふん!」
何だかふんふん言っているエリスの頭に軽く手を乗せたのち、俺たちは帰路につくのだった。