第百二十七話
「ぶっほ……」
ありのままに状況説明をしよう。
家が凍り付いていた。
おっと……あまりにも驚きすぎて、我ながら意味の分からない説明になってしまった。
つまりだな。
ミーニャを求めて自宅に帰ってきたら、何だか知らないけど家が氷に包まれていた。
うん、意味がわからない。
わからないので――。
「んでこれ、何?」
そう俺がその場に居たエリスに問いかけると、彼女は「ふん!」と一言挟んでから。
「リンが突然『うぅ……熱いです、鬼畜です』とか言って、とんでもない上級氷魔法を使ったの――あたしが氷の一部を打ち消しながら外まで出てきたけど、全部は無理ね」
「な、なるほど……」
またあいつがやらかしたのか。
というかこれ、俺が炬燵の温度マックスにして放置したせいじゃないよな。
うん、きっと違うはずだ。
「ところで他の奴はどうした? なんでお前だけここに――」
「べ、別にあんたが帰ってくるのを待ってたわけじゃないんだからね!」
「……ところで他の奴はどうした?」
「なんか言いなさいよね! バーカ、バーカ!」
「ところで他の奴は――」
「あーもう! ミーニャとリゼット以外はマオのところにいったわよ!」
という事は、あいつらとは入れ違いか。
待てよ、じゃあミーニャたちはどこに行ったんだ?
俺が疑問に思った事をそのまま口に出すと、エリスはどこかどや顔で答える。
「二人なら特別なマジックアイテムを探しに出かけたわ!」
「…………」
「なんか氷を消すみたいな――」
途中からエリスの言葉が耳に入らなくなってきた俺は、頭を抑えながら思うのだった。
まーた面倒くさくなってきた。