第百二十三話
「お兄ちゃん……」
「なんだよその眼は」
「お兄ちゃんってさ、スペック高い割には失敗率高いよね……」
「うぐっ」
ふ、ふふ。
我が妹ながらなかなか痛いところを突いてくるじゃないか。
現在、自宅の縁側のような場所に俺とミーニャは並んで腰を降ろしている――いや、正確に言うならば、ミーニャが俺の膝を枕に寝っ転がっている。
これ、気持ちいいのだろうか?
別に親父臭いことをいう訳ではないが、膝枕はやはり女の子にやってもらうからこそ気持ちのいいものだろう。
何せ女の子は柔かい、柔かくてとても気持ちいい。
自慢ではないが、俺の太ももは固い自信がある。
「うん、絶対気持ちよくないはずだ」
「気持ちいいっていうか……お兄ちゃんの匂いに包まれている感じがして幸せなんだよ」
「…………」
「…………」
いかん。
思わず声に出してしまった。
しかもそれに対する返答が聞こえてきた気がしたが、まぁ聞こえなかったことにしておこう――聞こえたことにしてしまうと、恥ずかしくてやっていられない。
「それでお兄ちゃん、さっきの話だけど――」
「その話はもういい! だいたいあれは俺のせいじゃない」
「リンちゃんだよね? 知ってるんだよ」
知っているなら言うな。
そう、俺は先日マオからもらった仕事をまたしても?失敗した。
ミーニャが言う事を認めるわけではないが、結構失敗率が高い気がする。
「…………」
このままではまずい。
仕事でミスをしまくっていると、周りからの評価がどんどん下がって行く気がするのだ――まぁ周りからの評価が下がろうと、自分は精一杯頑張っていると言えなくもない働きをしていると思う。
思うのだが、やはり評価は高いに越したことはない。
「だからお師匠さまのところに行くんだよね?」
「あぁ、またなんか仕事貰ってくる」
そして今度こそ――。
「それはいいんだけど、その前に炬燵を出すのを手伝ってほしんだよ」
「ん、ああ。そのくらいだったら別にいいけど」
少し早い気もするが、こうしてとりあえずの仕事――炬燵出しが決まったのだった。