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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第七章 とりあえずパシられてみる
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第百十九話

 翌日。

 

「眠い……」


 きっと鏡を見たら酷い顔をしているだろうな――俺はそう考えつつ、朝特有の活気に満ち溢れた市場を一人歩く。


「…………」


 静かだ。

 本当に静かだ、まるで昨日の一連の出来事が嘘だったかのように。


 これほどまでに静かな理由はただ一つ。


『おい、起きないと置いてくぞ』


『寝込みを襲うなんて……鬼畜です』


『勝手にしないさよね……むにゃむにゃ』


 というやり取りが、朝あったからである。

 ようするに、うるさい奴らは未だ爆睡中――布団の中でいい夢を見ているという訳である。


 一応言っておくが、俺がしつこく奴らを起こそうとしなかったのは、断じて静かにショッピングしたかったからではない……うん、本当に違う、違うと思う……多分。


 まぁ深層心理でどう思っていたかはさておいてだ。


「さーて、さっさとゲアラブアを購入しないといけないんだけど……」


 俺は再び、問題に直面していた。


「なんだこれ」


 俺はようやく静かにショッピングできる。と、まぁ多少の寂しさと物足りなさを感じつつ通りを歩いてハズだ。

 なのに何だこれ。


「えー、では限定ゲアラブアが残り一袋となりましたので、これより恒例の争奪戦をはじめます。参加希望の方はこちらの列にお並びください」


 聞こえてくるアナウンス。


 アリのように多い人から出来た長い列。


 そして……そこに並ぶ俺。


 あれ、おかしいな。

 俺って確かゲアラブアを買いに来ただけだよな。

 普通にお金を渡して商品を受け取って終わり。

 それだけのはずだ。


「これから会場に移動するので、参加者のみなさんはついて来てください」


 はずだったのに。

 いや……深くは考えるまい。


 もうここまで来たら運命なのだろう。

 俺は平穏に時を過ごすことは出来ない――そういう運命なのだろう。


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