第百十六話
人間だれしも好きなことだけやって生きていけるわけではない。
面倒くさくて、とうていやりたくない事でもやらなければならない――もちろん、嫌な事だけやって生きていけという訳ではないが。
「……ふぅ」
まぁ前置きはともかく。
俺は今、たいしてやりたくない事をやっている。
何をやっているかは――。
「顔を狙うのは反則です」
「別にあたっても痛くないでしょ、枕なんだから」
「ボフってします……」
まぁ、やっていることはご察しだ。
とにかく俺は今、あまりやりたくない事をやっている。
「あっ! 魔法使うのは反則なんだからね!」
「そもそも……このたくさんある枕自体、自分の魔法で増やしたものです」
「屁理屈言わないでよね!」
「屁理屈じゃないです……気に入らないなら、魔法を打ち消せばどうですか?」
やはり中々面倒くさい事になっている。
俺は状況を把握し直してそう思うが、面倒くさい事になっているとはいえ……。
「お兄さんも早く参加してください」
「いつまでボーっとしてるのよ!」
そう。
どんなに面倒くさい事でも、俺は全力でやるスタンスだ。
「あぁ、わかってるよ」
参加してやるとも。
やるからには、完膚なきまでにお前らを倒してやるよ。