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異世界に行ったら妹ができた  作者: 紅葉コウヨウ
第七章 とりあえずパシられてみる
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第百十三話

「あんたいつまで乗ってるのよ!」


「乗っていません……くっついているだけです」


「屁理屈言ってないで降りなさいよね!」


 背後で聞こえる声――およそ二人分。


 せっかく一人で出てきたのに、結局は二人と合流してしまった。

 しかも、よりにもよってかなりうるさい二人こと、エリスとリンにだ。


「まぁこうなった以上文句は言うまい」


 気分的に静かで面倒のないパシられ旅行がしたかっただけであり、どうしても一人になりたかったわけではない。

 それに人数が増えたら増えたで、それなりに楽しいはずだ。


「……ふぅ」


 リンもエリスも居たら居たでいいとか思いつつ、心のどこかで「少し楽しい」とも思ってしまっていることに軽く溜息をつ――。


「ぐはっ!?」


 な、なんだ!?

 いったい何が起きたんだ!?


 気が付けば、俺はヘッドスライディングでもしたかのような態勢で、地面に倒れ伏していた。


「くっ」


 あまりにも咄嗟過ぎたため、ろくに受け身も取れず地味に痛い。


 あごとか露骨にうったぞ……というか、本当に何が起きた?

 感覚的には、そう――歩いていたら、超スピードの何かが背中に直撃した感じだったが。


「……背中?」


 よく考えてみよう。

 俺の背後には何が居た?


「…………」


 だいたい何が起こったのか予想という名の確信をもちつつ、先ほど何かが当たった箇所――すなわち背中の中方付近に手を回すと。


 ふに。

 ふにふにっ。


 何だか柔かい感触が伝わってくる。

 そう、これは間違いなく。


「胸を触るのをやめてください……鬼畜です」


 そう、これは……って。


「胸じゃないだろ! 頬っぺただろこれ!」


「ばれましたか」


「ばれるも何もだな……というか、お前ら静かにしろ! いや、静かにしなくてもいいから、せめて大人しくしろ! 暴れるな!」


 俺はクレームを垂れ流しつつ、リンを投げつけたであろうエリスへと視線を移す。

 すると彼女はさっと俺から視線を外し。


「べ、別にあんたにぶつけようとしたわけじゃないんだから……か、勘違いしないでよね!」


 などと、意味不明な供述を繰り返しており。


「……はぁ」


 やっぱりこいつらと旅するのは面倒くさいだけかもしれない。

 と、俺は考えを改め始めるのだった。


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