第百八話
あれから数日がたった。
「痛いです……引っ張らないでください……鬼畜です」
「ペシペシ、ペシペシ!」
「痛いです……叩かないでください……鬼畜です」
俺はぼんやりと瞼を半開きにしながら、じゃれ合っている?リンとクーを見ている。別にロリ体型の二人を見てロリロリにふけっているわけではない。
俺がこうして居るのはただ暇なだけだ。
とある人物からの連絡を待って、ひたすらここ――自宅のリビングでグダグダしている。
「にしても……」
と、俺は周囲を見渡す。
「ほら、あんたがどうしてもって言うなら、これ……分けてあげてもいいんだからね」
「くっ、悪魔の誘惑に屈してはお兄様に合わせる顔が」
「悪魔の誘惑って何よ! お菓子を分けてもいいって言ってるだけじゃない!」
本当に騒がしくなったな。
俺がこの世界に来たばかりの頃は、ミーニャと二人きりだったんだよな。
あの頃が信じられないほど、今は騒がしい。
静かなよりは騒がしい方が……というか、寂しくない方がいいかもしれない。しかし、ここまで来るとうるさい。
特にエリスとクーがドッタンばったんとうるさすぎる。
もっとも、二人は物理的にうるさいのであって、物理的でなければリンが他の追従を許さぬナンバーワンかつオンリーワンっぷりだろうが。
俺がそんなことを考えていたまさにその時。
「お兄ちゃん! お師匠さまから連絡あったんだよ!」
と、ミーニャが俺を呼ぶ声が聞こえる。
「ん、今いく」
俺は内心「ようやく来たか」と思いつつ、ゆっくり腰を上げる。
マオからの連絡の要件は、十中八九次の仕事の件だろう。
件のオーク騒動が終わってから、俺はしっかりと次の仕事が欲しいと希望を出していたのだ。
「さーて、今回はどんな仕事になる事やら」
膨大な不安と、莫大な嫌な予感を抱えつつ、俺はミーニャの元まで歩いて行くのだった。
皆さまのおかげもあって、ホビージャパン様の第二回読者グランプリにて優勝できました、誠にあざっしゅ!
来年に書籍でるみたいなので、買ってくれるとさらに喜びます。
書籍化するシナリオも、こちらに上げているシナリオも、どちらも頑張りますので今後とも、よろしくお願いします。