01:「「亮君(桐生先輩)、お疲れ様です」」
※注意事項※
壱.まず文才が迷子。低クオリティ。
弐.主に咲夜視点もしくは咲十郎視点。
参.ギャグでもシリアスでもなんでもない、むしろ面白味に欠ける。
肆.CPとか普通に交えます。
以上を踏まえて、「おけま」という人!
ではお進み下さい☆
人里離れた山陰に、それはあった。大きな壁で囲われ、立派な門の脇には「忍術学園」の文字。ここは、忍者になるべくして集まった忍者のたまご、忍たま達が育つ場所である。そんな学園では、常日頃から問題が絶え間なく続き、騒動も勃発していた。現に今も。
「きーしょーえーせーんぱいっ」
「来るなぁあぁあぁ桐生ぅうぅうぅう!!」
「そんなあからさまな態度とられると近づきたくなるんすよー、あはは」
若干黒いモノを浮かべながら五年は組の桐生亮一郎は潮江を追いかけ回していた。今回は一種のストレス発散の為であろう、と通りすがりの彼女、羽野咲夜は思案した。そんな彼女の隣にいた太山寺莢歌はというと、通り過ぎていった彼らの背中を見てにこりと笑った。
「楽しそうだね、桐生君と潮江先輩」
「…そうだねぇ」
潮江先輩が楽しいとはいえないけど、という言葉は咲夜の胸の中にしまいこんで置いた。二人は同じ場所にいく目的があるわけではなく、咲夜は学園長の庵からくの一教室に戻る途中、莢歌は幼馴染である五年い組の柊雪華の元へ行く途中でばったり出くわしたのだ。
「じゃ、わたしはここで。またね咲夜ちゃん」
「うん、またあとで」
ひらひらとお互いに手を振って背を向けて歩き出せば、自分の足がいつの間にか六年長屋へと向かっていたことに気づく。それに苦笑を零して、咲夜は元来た道を帰ろうとすればその肩がトントンと叩かれ、勢いよく振り返った。
「! ……朔弥先輩」
「やっほー☆咲ちゃん。六年長屋に何か用?」
そこにいたのはいつもと同じ笑みを湛えた六年ろ組の天月朔弥だった。
「いえ、自然に足が此方を向いてしまっただけのことですから」
「へぇ~。もしかして、それってさくじゅーが帰ってくる前触れだったりして♪」
「まさか。座鬼はまだ帰って来ませんよ」
「断定できちゃうところが咲ちゃんらしいよねー☆」
あはは、と笑った朔弥に咲夜は静かに笑みを浮かべた。彼女の母方のイトコにあたる六年ろ組の美座咲十郎は先月末から忍務に出ていて未だ帰る様子は見られない。忍務でないにしろ、学園にいることが少ない彼であるが、その場所を唯一知るのは咲夜だけであった。
「座鬼は…様子的に、あと二週間ほど経たないと帰って来ませんね」
「咲ちゃんはさくじゅーの居場所知ってるもんね。今回はどこ?」
「学園長の旧友のところへお使いですよ。結構歩きまわるという話でした」
「随分楽な忍務だね~。なら気楽に待っているよー」
「はい、それでは失礼します」
ぺこりと頭を下げて今度こそくの一長屋へと帰る道を辿れば、元気の良い声に呼ばれその声の主が分かってしまった為に咲夜は振り返る前に笑みを浮かべた。
「こんにちは、今日も元気だね胡夜君」
「咲夜先輩こんにちは!」
にこりと笑みを浮かべた後輩、三年い組の月宮胡夜に咲夜もまた笑みを返す。
「今から長屋へ戻る所ですか?」
「うん、そう。胡夜君は……委員会?」
「はい。といってもついさっき終わったんですけどね」
「そうなんだ、お疲れ様。良かったらこれ、どうぞ」
咲夜は懐から鼈甲飴を取り出して胡夜へと手渡した。
「ありがとうございます! 咲夜先輩はいつも甘味持ち歩いていますね」
「定期的に糖分接種しないと、脳が働かないんだよ」
「ええっ? 咲夜先輩ってそういう冗談いう人でしたっけ?」
「ちょっとね」
と、苦笑を零した時だった。
「ぎゃあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ」
どこからともなく悲鳴が聞こえたかと思うと、凄い土煙をたてて二人の間横を何かが通り過ぎていった。二人はその通り過ぎていったものの後ろ姿を見て、ポツリ呟いた。
「…桐生先輩ですね」
「亮君だね」
「待て桐生うぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅうぅう」
びゅん、とまた二人の目の前を横切ったその影に、二人は遠い目でその背を見送った。
「…七松先輩だったねー」
「七松先輩でしたねー」
「「亮君(桐生先輩)、お疲れ様です」」
「いぎぁあぁあぁあ天月先輩ヘルプミィィイイイイイイ」
「あは、亮たん呼んだー?」
ひょっこりと、咲夜と胡夜の後ろから登場した朔弥に二人はびくりと肩を揺らした。
「わっ、朔弥先輩!」
「本当にどこからでも登場しますね、朔弥先輩は」
「うん、良い反応だねこよよん。咲ちゃんは…うん、もちょっといいリアクションしようよ~」
「事実を言ったまでですよ。それで、亮君助けなくていいんですか?」
隣で目を丸くしたままの胡夜をよそに、咲夜は肩を竦めて朔弥を見上げれば、彼はいつもと変わらぬその笑みを浮かべたまま言った。
「うん、ちゃんと助けるよ~☆」
そういい、指笛を鳴らした直後朔弥の両隣に狼の蝋華と山犬の樺凛が現れた。その頭をよしよしと撫でると、先程とは違った笑みを浮かべて言い放った。
「よし、こへこへ目掛けていっけー!☆」
わんわんお、ではないが二匹はその命令を受けすぐさま七松を追う。そして数十秒後、悲鳴が聞こえたのは言うまでもない。二人の隣でにこにこと笑みを浮かべている朔弥に、二人はなんとも言えない表情で黙りこくっていた。そんな時、若干ボロボロの桐生が戻ってきた。
「胡夜に咲夜に天月先輩! 三人でいるなんて珍しいですね」
「あ、亮たんお疲れ~♪ 大丈夫だった?」
「あ、はい! 助けて貰って感謝しまくりですよ!」
「そのあと七松先輩の行方は…?」
「確か飼育小屋n「ぎゃあああああああああああああああ」……な?」
「そうだね…」
「あは☆やっちゃったねぇ、こへこへ」
「ご愁傷様です!」
それぞれ色々な思いを抱いて、飼育小屋の方角へと視線をやった。咲夜に至っては手を合わせているくらいだ。それを通りすがりに横目で見た竹谷は飼育小屋へ向かい、次に悲鳴をあげることになったのは余談だ。
「次の予算、体育と生物にはやらん」
「え? きしょえ先輩なんかいいました?」
「Σ桐生…!」
そして飼育小屋倒壊に伴い、生物並びに体育の予算を減らそうと目論んでいた潮江を桐生が見つけ、歩く武器庫の名を持つ彼が、潮江をマジ泣きにさせるまでに追い込んだのは、更にどうでもいい余談話である。