今川氏真の決断
将軍足利義昭と織田信長の関係が悪化。その信長を取り除くべく足利義昭は全国の勢力に対し檄文をばらまいた結果、織田信長は包囲される事に。その中あって義昭が最も期待したのが甲斐の武田信玄。1572年。その武田信玄が打倒織田を掲げ上洛戦を開始。手始めに信長と同盟関係にある徳川領へ侵入し、三方ヶ原で家康を撃破。兵を三河へ進めたの対し、信長は一大決戦を決意。本拠地岐阜に兵を集め、美濃で天下分け目のいくさが繰り広げられる。誰もがそう考えていた矢先……。
武田信玄は信濃へ撤退。
誰もがこの不可思議と思える行動に様々な方法で探りを入れる中、ある1つの噂が……。
「武田信玄が亡くなったらしい。」
この噂は、この人物の耳にも……。
今川氏真「おぉ来たか。泰勝。」
今川氏真は、かつて駿河から三河を治めるも武田信玄との争いに敗北。今は妻の実家北条家本拠地相模に身を置いている。
朝比奈泰勝「殿。如何為されましたか?」
朝比奈泰勝は今川氏真の側近。今川が全ての所領を失った後も氏真に従い、相模に在国。
今川氏真「其方も聞いておろう。あの憎き武田の事を?」
朝比奈泰勝「信玄が死んだ話でありますか?」
今川氏真「うむ。」
朝比奈泰勝「しかし話は噂に過ぎません。実際、北条家中に甲斐で信玄に会った者が居たとの話もあります。」
今川氏真「恐らくそれは別の誰かがなりすましているのであろう?」
朝比奈泰勝「と言われますと?」
今川氏真「これを読んでみよ。」
今川氏真が朝比奈泰勝に渡した書状。そこに書かれていた内容は?
朝比奈泰勝「これは……家康からの?」
今川氏真「うむ。徳川家康からの書状だ。」
朝比奈泰勝「信玄の死に関する事が記述されていますが、徳川と武田は敵対関係。何か揺さぶりを掛けるための謀略では?」
今川氏真「私もそう考えていた。ただ出所を見ると……。」
朝比奈泰勝「奥平定能……。確か彼は徳川と武田の両属?」
今川氏真「そうだ。ただ武田優勢となった今は武田の一員として活動している。そんな奥平が徳川に連絡して来た。それも現在の武田において最大の機密事項である信玄の死に付いて事細かに書かれている所を見ると……。」
朝比奈泰勝「信憑性がありますね?」
今川氏真「うむ。ところで泰勝。」
朝比奈泰勝「如何為されましたか?」
今川氏真「私はこの話に……。」
応じようと考えている。
朝比奈泰勝「えっ!?」
今川氏真「家康の誘い。駿河奪還に乗り出そうと考えている。」
朝比奈泰勝「……殿のお考え。尤もであります。しかし殿。我々は今……。」
武田と同盟関係にある北条の庇護下にあります。




