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婚約破棄されたら推しと親しくなりました~勘違い婚約者様ありがとうございます~

作者: ななぱん
掲載日:2026/04/18


「メアリー・ブラウン男爵令嬢! お前との婚約を破棄する!」


 私の婚約者は突然、そんなことを言い出した。

 以前は婚約者らしく一緒にご飯を食べたり、休日に出かけたりしていたが、ここ半年はパタリとなくなっていた。


「私は真実の愛を見つけた! お前のような頭の悪い女と結婚などできない!」


 頭の悪いのはどちらでしょう。皆が楽しく食事をする場所で大声を張り上げる。


 正直、恥ずかしい。どっか行ってほしい。


 と、言うか、私の成績を知らないのか。あ、言ってなかった気がしてきた。


「私が真に愛する女性ひとはただひとり!」


 そう言うと、まさに今、食事を終えて立ち上がった一人の令嬢の前に跪く。


 ちょ、そのお方は――!?


「パトリシア様! どうか私と婚約してください!」


 パトリシア・フォーナード公爵令嬢! な、なんてご無礼を!


 学校中の淑女の憧れパトリシア様!

 文武両道のパトリシア様!

 皆の推しパトリシア様!


 そのパトリシア様に何さらしとんだ己は!?


「お断り致します」

「は?」


 キッパリとお断りしたパトリシア様に、婚約者は信じられないと目を見開く。


「あ、あんなに愛を語り合ったのに……それをお忘れですか!?」


 婚約者はすがるような目でパトリシア様を見上げた。


 当のパトリシア様の視線は冷たい。いいぞもっとやってください。


「そんなもの語り合った覚えはありません」


 パトリシア様の言葉はナイフのように鋭い。


 素敵です、パトリシア様!


 そう言えば、パトリシア様と一緒にいる所を多く見かけたような。


「勉強を教えていたことを言っているのですか? 私は質問に答えただけですわ」


 勉強を教えてもらっていたのか。確かに婚約者の学業の成績はそれほど良くない。


「それに、メアリー様は学年上位の成績をキープする才女ですよ」


 パトリシア様が!


 私のことを!


 認知してくださっていた!


 私はもう天にも昇る思いだった。婚約者なんてどうでもいい。


 絶望している婚約者に一瞥もくれず、パトリシア様は私の方へ歩いてきた。


「メアリー様、とんだ災難でございましたね。このような婚約者は貴女のためになりません。さ、参りましょう」


 パトリシア様は微笑んだ。女神。


 一瞬、惚けてしまったが、食堂を出ていくパトリシア様についていく。


 ふと、パトリシア様が数歩進んで婚約者を振り返った。


「それと、私はすでに婚約者がいますので、あしからず」


 パトリシア様が追い打ちをかける。


 そうよ。パトリシア様には年上のお城勤めの婚約者様がいらっしゃるのよ。


 なんておバカな私の婚約者。

 お父様とお母様にすぐ報告して希望通り婚約を破棄してもらわねば。


 パトリシア様に続いて食堂を後にする。


 連れていかれたのは学校の庭のベンチだった。


「申し訳ございません。勉強を教えていただけなのに、このようなことになってしまって」


 パトリシア様は申し訳なさそうに頭を下げた。


「顔を上げてください! パトリシア様は同級生に勉強を教えていただけです」


 パトリシア様がそんなことなさる必要はありません!


 ああ、やめてください。私がファンクラブにボコられます!


「ふふっ、ありがとうございます」


 眩しいっ! 笑顔が眩しすぎます!


 鈴の音のような声とはこのことか。


「よろしかったら、今度から私と昼食を食べませんか? 皆さん、婚約者の方が学校にいますし、公爵令嬢と言う身分に遠慮してか、なかなかお食事を共にする方がいなくて……」


 なんと! パトリシア様がそんな孤独を抱えていたとは!?


 私なんて全然気にしないで独りでご飯食べていたのに。独り楽だわ~とか思ってたのに。


「私でよろしければ! でも、パトリシア様とお話したい方は多いですよ。今度お誘いしてみましょう」


 ひゃっほーい! 食事を共にするお約束も取り付けたぞ!

 これはみんなと分かち合わねば!


 公爵令嬢と親しくなったぞ。そこだけはグッジョブ婚約者! これであなたには本当に用はありません。



 その後、私は無事に婚約破棄をすることが出来た。お昼の食堂という人が集まる場所での醜態。目撃者が多すぎてもみ消すことも誤魔化すこともできなかったらしい。


 それはそうだ。


 そして、私はパトリシア様の伝手で卒業後の就職先まで手に入れた!


 バリバリ働くキャリアウーマンになるぞ!

勢いだけで書きました。謎の疾走感。

別の連載作品もあるのでよろしければご覧ください。

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究極の勘違い男。
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